“社会的変化” が創造した微アル・ノンアル売場の提案方法とは
「ノンアルでも酔える」市場拡大の背景
かつてとあるテレビ番組で、お笑い芸人の飲み会を隠し撮りする企画があった。1杯目はビールだが、参加者には秘密で、2杯目以降はノンアルコールにすり替えられていた。しかし誰も気づかず、そして「酔い」はじめ、最後は気が昂ぶってケンカまで勃発してしまう。
若干の“仕込み”はあったにせよ、「ノンアルで酔う」こと自体はあり得ると思う。人間は雰囲気で酔えるからだ。しかも二日酔いにならないというメリットもある。
そう考えると、ノンアルコール・微アルコール飲料が人気を集めつつあるのも納得できる。ビールだけではなくカクテルや日本酒などにもラインアップは広がっており、「翌日に響かない」「そこまで酔いたくない」といった理由でそういった商品を選択する消費者は増えている。
需要拡大の背景としてはもう1つ、コロナ禍で在宅勤務が広がったことも挙げられる。「昼は育児や家事に集中し、夜に仕事をする」というふうに、生活スタイルが変わった人も多い。仕事とプライベートの境目が薄れるなか、軽く気分転換できるノンアル・微アル飲料はうってつけだろう。
もう1つ。日本ではそもそも、「定期的に飲酒する」という人は2000万人ほどの推計で、つまりそのほかの大半はほとんど飲酒の習慣を持たない。ここが攻略されていないホワイトスペースだった。
飲酒の多様化と酔うことへの“迫害”
しかし、私がより大きな潮流として注目しているのは、「①飲酒の多様性」と「②“酔い”への迫害」が起きている点だ。この2つのポイントから、ノンアル・微アル飲料が短期的ではなく長期的のトレンドになると考えている。
まず①飲酒の多様性について。