不況下で支持基盤を広げて大躍進、満を持して九州に乗り出す!=大黒天物産 大賀昭司 社長

聞き手:千田 直哉 (編集局 局長)
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──人材教育にも力を入れています。教育機関として「大黒天大学」を一昨年の11月に立ちあげてから、丸一年がたちました。

大賀 「大黒天大学」は、店長研修や、次期店長研修、同期生の研修などを、社内のスタッフや外部の教育機関、あるいは専門家を招いて指導、教育する場です。コンセプトは「心と頭と体の教育」です。

──「心の教育」というのは何を意味していますか?

大賀 「商人の心」です。人間として社会人としてはもちろんですが、サラリーマン化せずに、商人の心を持ってほしいということです。

 店舗数が増え、企業が成長してきた過程で、標準化や仕組み化、システム化も進めてきました。そうした過程で、企業はどうしても官僚的になり、大企 業病にかかってしまう。でも当社は大根1本、巻き寿司1本が売れて始めて成り立つ会社です。そういった原点が忘れ去られて、管理体制や組織によって経営が うまくいっているかのような錯覚に陥ってしまうのは危険なことです。

 もちろん管理体制も組織づくりも重要ですが、常に原点に立ち返って社員一人ひとりが商人の心を持って仕事をしなくてはいけないと思っています。

 日ごろから話してはいますが、ここのところとくに強く感じ始めたので、店長会議や営業会議、大黒天大学といった場で話すようにしています。

 それから、流通業だけではなしに、最終的には人をつくっていかなくてはいけない。当社で働く以上、従業員にはいい人生を送っていただきたいという思いがありますね。

いざ、九州へ「必ず勝って、根を下ろす」

──昨年夏に、M&A(合併・買収)を担当する企業戦略室を設置しました。

大賀 M&Aは、西日本エリアを想定しています。今の時代は後継者問題等もあり、案件自体は山のようにありますが、当社にとってプラスになる案件を精査していきますから、時間がかかる話です。

──そして、いよいよ九州に進出します。

大賀 2010年5月に福岡県に九州1号店の水巻店をオープンします。

 ここ数年、企業も大きくなって、スタッフもよくやってくれていますので、経営者として安閑としていた部分がありました。20年以上経営していて、 闘志満々で武者震いがする高揚感を久しぶりに味わっています。今回の九州進出には、熱いものがあります。もう少年に帰ったような気持ちでワクワクしていま すね(笑)。

──地元九州の有力ディスカウンターとの一騎打ちになります。

大賀 10年後、20年後に、「九州水巻店のあの戦いがあって、今の大黒天物産があるんだ」と言えるようにしたい。お互いに切磋琢磨して、学んで努力しながら成長していって、そこから21世紀の日本の小売業をつくっていきたいですね。

 九州の出店は必ず成功させなくてはいけません。九州に根を下ろしますよ。水巻店の店長には「勝って帰らんと、本州には帰さん」と言っています(笑)。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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