不況下で支持基盤を広げて大躍進、満を持して九州に乗り出す!=大黒天物産 大賀昭司 社長

聞き手:千田 直哉 (編集局 局長)
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──PB開発の際のメーカーの選定は、どんなかたちでやっていますか。

大賀 PBメーカーは、当社のつくりたい商品に関心を持っていただいた企業数社でコンペをします。製造や物流の方法を具体的に伺い、当社が希望する価格で実現できるかどうかで決めています。

──PBの「味」は、どのようなプロセスで決まるのでしょうか。

大賀 週に3回開く商品会議で、20人ほどのバイヤーが全員で試食・試飲をして多数決を取っています。基本的に比較するのはNBと、PB試作品2種類。それぞれがどれなのかをわからないようにして、試食するわけです。

 全員で食べてみて多数から評価された味が、お客さまからも受け入れられる味なんですね。

──商品の改廃については、どの程度の頻度で見直しをしていますか。

大賀 いい商品があれば、その都度です。いったんPBを開発しても、よりいい条件の提示があれば、即座に替えます。

──総アイテム数が4500アイテムある中の400~500アイテムがPB、残りの4000アイテムはNBです。NBの品揃え基準は?

大賀 まず、同じメーカーA社の商品であれば、ベンダー数社から相見積もりを取ります。一方、同じカテゴリーの異なるメーカーの商品については、メーカーA社、B社、C社で相見積もりを取ります。

 常に単品レベルでベンダーとメーカーの相見積もりを取って、お客さまにとっていちばん魅力的な商品価格を打ち出していきます。

──価格のプライオリティが高いわけですね。

大賀 どちらかといえば、当社は価格に重点に置いています。ですからNBのトップブランドメーカーではなくて、2番手、3番手であっても価格がトップブランドに比べて安いメーカーがあれば、そちらを重点的に販売します。

 さらにPBの「D-PRICE」なら、NB価格に対して3~5割は安く売るのがコンセプトです。1割程度ならPBにするメリットがありません。

販管費の低さは今後を勝ち抜く必須条件!

店内の見通しがよい
青果売場は什器の高さをおさえており、店内の見通しがよい

──価格訴求の原資をつくるためには、低コスト経営が必須となります。業務改革については、去年から「業務システム改革プロジェクト」を始めました。

大賀 人時生産性の改善にはずいぶん前から取り組んでおり、作業の標準化が進んだことで確実に生産性が上がってきています。また自動発注システムも稼働していますので、店舗の従業員が発注することはほとんどなくなりました。

 一つひとつの作業や規定、マニュアルづくりもそうですが、すべてはいくつかの実験を重ねて最終的に1つのかたちに決まっていきます。たとえば什器についても、新しい設備を導入したら、作業はどう変化するか。生産性は上がるのかと、実験と検証を繰り返しています。

 まだまだ実験段階ですが、総菜の作業改善にも取り組んでいます。広い作業場のある店舗で近隣5店舗分の総菜をつくり、プロセスセンターのような役割を担わせるというものです。

 将来的には、総菜も含めた生鮮4品でプロセスセンターの活用を検討していきます。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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