実務を知らなくても価値はある!?いまアパレル企業改革にコンサルタントが必要になった理由
アパレル産業でコンサル活用が増えてきた特有の事情
ある業界専門誌に、アパレル業界にコンサル活用が広がってきた、という記事がでていた。今、1000億円規模、あるいはキャッシュリッチな会社に行くと、すでに大手のコンサル会社が入っており、驚くことが多い。一昔前なら、アパレル産業でコンサル会社を使う事例などあり得なかった。しかし、今、状況をしっかり分析し論理的に考えれば、コンサルを活用するメリットは計り知れないはずだ。特に、ひと昔はアメリカでちょっと知ったことを、「日本で4年後に来る技術だ」と言っていれば良かったが、今は、そのアメリカで旧態依然としたアパレルが次々と破綻している。
そして、その次は、「この投資は、ユニクロがやっているから正しい」が、意思決定の殺し文句だったが、そうした投資も次々と失敗してきた。勝ち組の真似をしても消費者は本物にゆくだけだし、そもそもコンビニをベンチマークしているファーストリテイリングとファッション企業ではビジネスモデルが根本的に違う。某アパレル企業の役員の言葉を借りれば、「万策尽きた今、アパレル業界は、アメリカもユニクロも先生たりえない、一体どこを観れば良いのかと隣が気になって仕方ない」状態になっているという。
しかし、ファーストリテイリング以外のほとんどの会社は等しく苦戦を強いられている中、横を見ても答えなどあるはずがない。そこで大事になるのが自動車業界やパソコン業界などの他業界のKFS(成功の秘訣)を抽象化するアナロジーシンキングや、点と点を繋ぎ前提条件のもとに全体幹を作り上げるフェルミ推定などを駆使し、正しい問題解決のステップで方向性を出すコンサルタントの価値は高い。
また、決して競争相手の守秘に関わることは言わないプロフェッショナルであるが、初期仮説(コンサルタントは最初に答えに近しいと思うことを出し、調査や分析を通して立証する独特の思考)に、今までの経験や実績が影響を与えていないといえば嘘になる。特に、「先生」がいない今、デジタル領域やマーケティング領域、あるいは、今後、ビジネスが世界化することが予想される今、世界の常識を分析している外資コンサルの利用価値は高いというのが、本日私が言いたいことだ。コンサルの高額なフィーをいまだに「人件費」だと思っている企業がいるが、コンサルファームとクライアントの契約はBtoBであるし、人材開発や営業など、ファームは一般に知られていないほどの投資を行っている。よく考えてもらいたい。例えば、私が行った再建の仕事では、毎年50-100億円近い赤字が続いていた。例え、コンサルに10億円を払っても、その赤字が止まったことを考えれば、ROIは成立する。実は、腕の立つコンサルのROIは高いのだ。
なお、本論で私が述べている「コンサルタント」とは、グローバルにオフィスを展開するグローバルファームのことを言っており、昔の会社での経験を語る「グレイヘアコンサル」のことではない。念のため、私は「グレイヘアコンサル」を批判してはいない。昔の経験のほうが、論理的に時間をかけて精度にこだわる解を導き出すコンサルファームより即効性があるのは、肩こりを治すという例でいえば、リラクゼーションマッサージのようなものだ。本来は姿勢や過労などを直すべきだが、毎週のようにリラクゼーションに通えばそのコリも一時的に和らぐのと同じだ。しかし、大きなビジネスモデルの変革に、さらにデジタルやM&Aなどが複合的に絡む今の課題には、グローバルファームの存在感はますます増すだろうと思う。ここは理解してもらいたい。
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プロフィール
河合 拓(経営コンサルタント)
ビジネスモデル改革、ブランド再生、DXなどから企業買収、
デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言
筆者へのコンタクト
https://takukawai.com/contact/
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