激化する“調剤争奪戦”、アインホールディングスの成長戦略は?

棚橋 慶次
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今期はM&Aで大幅増収へ

 2023年4月期の業績予想では、売上高が対前期比14.8%増/前期から467億円増の3630億円、営業利益が同32.1%増/同48億円増の200億円、当期純利益が同55.1%増/同39億円増の110億円を見込む

 ファーマシー事業では、2022年5月に広島県福山市を拠点とするファーマシーホールディングスを買収しており、売上拡大のばねとする。リテール事業では、売上回復により赤字からの脱却をめざす。

売上高5000億達成への道筋は

 さてアインホールディングスは、長期ビジョンとして2026年4月期までに売上高5000億円の達成をめざしている。売上高5000億円という数字は現在の4割増しの水準となる。

 成長のカギを握るのは調剤薬局の店舗数拡大で、今後5年間で400店の新規開業を計画する。うち半分は中小店舗の買収・経営統合により、残りは自力出店をめざすとしている。また、店舗拡大にあわせ、薬剤師も一挙に600人増やす計画だ。

 調剤薬局は全国で約6万店あり、その数はコンビニエンスストアを超える。これまでは規模の小さい経営形態(パパママストアや店舗数5以下の法人)が主流だったが、最近は大手系列による寡占化が急速に進んでいる。大手系列チェーン店(店舗数20超)が全体に占める割合は、ここ5-6年で2割未満から3割強まで高まったとされる。

 調剤薬局を開設するには、営業許可を取るだけではなく主務官庁(厚労省の地方厚生局)に保険薬局の指定を受けなければならず、手続きには手間も時間もかかる。そこでアインホールディングスをはじめとする大手系列は、これまで中小系列・個人経営店を買収する形で店舗を急速に拡大してきた。

 敵は同業の調剤薬局チェーンだけではない。最近はウエルシアホールディングス(東京都/松本忠久社長)をはじめとする大手ドラッグストアチェーンも、利益率の高い処方箋ビジネスに本腰を上げている。

 5000人に上る薬剤師集団と充実した教育環境、医療機関・製薬メーカーとの信頼関係……いままで蓄積してきた強みはばねにアインホールディングスは成長を続けられるか。これからが正念場だ。

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