コロナを機にキッチンカーが急増の理由とは
移動型ダークストアも登場間近か?

2022/06/17 05:55
    佐藤 良子
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     「1600台以上のキッチンカーと620箇所以上の出店場所のマッチングは、実はとても複雑。それを実現したのが、当社の強み」と話す森口氏。お客が飽きないよう、出店場所ごとに毎日違うメニューを出す店を手配したり、出店場所の客層やイベント内容に合わせたキュレーションを行うなど、複雑な要素の中からマッチングさせるシステムを構築した。そして、月間販売数30万食という膨大なトランザクションデータ(年月日、価格、数量、金額などのデータ)をもとに、お客が求めるコンテンツやメニューを探り、売上データを事業者と共有してPDCAサイクル(計画、実行、評価、改善)を回す。

    キッチンカーだけじゃない!店舗型モビリティ

    様々な業態が増えている。「ショップモビリティで、街そのもののサプライ機能がアップデートされる。街を豊かにしたい」と代表取締役の森口氏
    様々な業態が増えている。「ショップモビリティで、街そのもののサプライ機能がアップデートされる。街を豊かにしたい」と代表取締役の森口氏

     コロナ禍後、同社はすぐさまオフィス街から住宅エリアに活動の場を移し、20204月から2ヶ月間で3万食以上を販売。同年6月には「Beyond MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービスに異業種を掛け合わせたサービス)」を視野に入れ、キッチンカーだけでなく、あらゆるサービスや小売の店舗型モビリティを推進する事業「SHOP STOP(ショップ ストップ)」を打ち出した。これによって、鮮魚店や自転車修理店、八百屋、マッサージ店といった業態やサービスが拡大。出店場所各地を「バス停」に見立て、例えば同じ場所に朝はカフェ、昼はフード、夕方は八百屋、夜はちょい飲みできる業態を配車するなど“空間のマルチユース化”を行う。

     中でもショッピングセンター(SC)やスーパーマーケット(SM)前では、移動型ファイナンシャルプランニング(FP)が成功しており、若いファミリー層が週末の買い物ついでにライフプランを相談する事例が増えているという。

     また少子高齢化や過疎化が進む地方都市に店舗型モビリティを増やし、買い物やサービスを提供する場を作るなど、地方創生にも注力。こうした動きに期待し、提携する全国の行政・自治体も後を絶たない。例えば兵庫県神戸市では開発中のJR三ノ宮駅前を「モビリティーゾーン」として常設型パークエリアを設置。殺風景になりがちな開発エリアに活気を呼ぶ。

     

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