フラッグシップ店舗リストラで再起となるか、家電最大手ヤマダHDの成長戦略

2022/06/01 05:56
棚橋 慶次
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積極的なM&Aに、店舗リストラも断行

 ヤマダHDはここ数年、「暮らしまるごと」戦略を旗印に、品揃えの拡大に大きく舵を切っている。

 売上高の8割前後を占める主力ビジネスのデンキ事業においても、ファニチャー・生活雑貨・リノベーション・インテリア・玩具など、家電以外の商品カテゴリー展開を急ぐ。2021年6月18日には、「たのしい。くらしをシアワセにする、ぜんぶ。」をコンセプトとする新業態「LIFE SELECT(ライフセレクト)」1号店を熊本県熊本市に立ち上げ(既存店の業態転換)、さらに今年3月までに合計17店(新規開店3店・業態転換15店)をオープンさせた。

 住宅建設事業を中心に、M&A(合併・買収)にも注力する。2019年12月に内紛と経営困難に陥っていた大塚家具を、20年には完全自由設計の注文住宅に定評のあるレオハウスを買収した。さらに20年10月には、ヒノキヤグループを子会社化した。ヒノキヤは戸建て建築に加えて独自の「Z空調システム」も事業展開しているユニークな企業だ。なおヤマダは、4月に株式交換によりヒノキヤを完全子会社化している。

 一方で、構造改革も継続して進めており、22年3月期も新規出店(50店)に匹敵する数(38店)の撤退を敢行した。閉鎖した中には、フラッグシップ店舗の「ツクモ秋葉原」「LABI新宿東口」「LABI新橋(旧キムラヤ新橋本店)」も含まれる。

 退店のリストラ効果は大きく、とくに都心店舗だと家賃負担が重くのしかかる。たとえばLABI新橋の場合、地下2階地上8階の「新橋駅前MTRビル」1棟を借り切っていたこともあり、森トラスト・アセットマネジメントに支払っていた賃料は月額7000万円を超え、戻ってくる敷金・保証金は22億5000万円に達するという。

2030年に売上高2.5兆円へ

 2023年3月期は、売上高が対前期比4.6 %増/前期から746億円増の1兆6940億円、営業利益が同12.5 %増/同81億円増の739億円、当期純利益が同2.7 %増/同13億円増の519億円を予想する。

ヤマダHDは中期経営計画の最終年度となる25年3月期には売上高2兆円をめざすとしており、さらに2030年に売上高2.5兆円を目標とする。まさに強気の成長戦略だ。

 1973年、現会長であり創業者の山田昇氏が群馬県前橋市に「ヤマダ電化サービス」を個人事業主として立ち上げた。店舗面積わずか8坪、夫婦2人のパパママストアがスタートラインだ。創業から50年近く、ヤマダHDは家電量販業界でトップの座に君臨する。

 自動車普及を背景とする地方都市ロードサイド店舗の出店と、店舗面積規制緩和をきっかけとした店舗大型化の波に乗り急成長を遂げたヤマダHDも、現在曲がり角を迎えている。10年前に2兆1000億円をこえていた売上高は、現在1.7兆円を切っている。さらにデンキ事業だけに限れば売上は1兆3000億円で、最盛期の2/3以下と危機的状況だ。

 中計初年度の23年3月期は、3年後のゴール達成に向けて大切な年だ。スタートダッシュが順調なら勢いがつく、逆に出鼻をくじかれれば挽回は苦しくなるだろう。

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