プラットフォーマー起因の歪な過剰生産が生み出す巨大ビジネス、SheinとShoichi

河合 拓 (株式会社FRI & Company ltd..代表)
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前回「 Z世代の衝撃#」1で、顧客に対する付加価値を考えないいかなるハイテク技術も企業の固定費を上げ、競争力を低下させるメカニズムを書いた。今日は、広がりつつあるD2Cで使われ出した「限定ブランド」と「プライベートブランド」の違い、そして、日本でSheinと同じビジネスモデルを展開しているShoichi(大阪府)にもフォーカスを当て、顧客起点のビジネスモデルとは何かを語りたい。

プラットフォーマーが力を付けたから生まれた
これがD2Cの本質

kmatija/istock
kmatija/istock

前回、D2Cを集めたOMOストアに閑古鳥が鳴いており、ビジネスモデル論からお客様を取り込むというのは考え方が逆さまだ。お客様の喜ぶ姿を実現するためテクノロジーをどのように使うか、という順番で考えないから、このようになるという話をした。
さて、昨今D2Cという言葉が紙面を飾らぬ日はないが、銀座、新宿はいわずもがな、青山や代官山、下北沢や大手町までファッションの聖地探索してもファッション業界は何も変わっていないように思うのは私だけだろうか。
繊研新聞の調査によれば、「80%以上の企業がDXに取り組んでいる」というが、ひとたび消費者側の視点に立ったとき、私たちは何かの変化を感じたのかということである。

D2Cブランドを集めたストア、などといっても、そもそも商品は魅力的なものがない。中間流通を排除したビジネスモデルであれば、アパレルの企画機能、ブランディング機能が抜け落ちるわけだから、商品がつまらないものになるのは自明だろう。聞けば、工場が在庫リスクを持てないということで、そのD2Cブランドはアパレルを使い、アパレルはお約束の商社を使っているという。これでは、もとのビジネスモデルと変わらないではないか。
今、ZOZOがライブコマースに力を入れているようだが、彼らの潤沢なキャッシュはプライベートブランド(PB)を辞めたことによる「在庫レス」が要因だ。在庫を持たなければ、企業にリスクはない。
Amazon
に入っているテナントが問題を起こしたとき、Amazonにクレームを入れても、「お客様とテナントで解決してください」の一点張りで拉致があかない。膨大なアクティブ顧客のデータベースを持ち、「品揃えといえばAmazon」、「ファッションといえばZOZO」という具合に、サイトにブランドができあがれば無敵となる。今、ECプラットフォーマーに死角はない。

 

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記事執筆者

河合 拓 / 株式会社FRI & Company ltd.. 代表

株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。大手通販 (株)スクロール(東証一部上場)の社外取締役 (2016年5月まで)。The longreachgroup(投資ファンド)のマネジメントアドバイザを経て、最近はスタートアップ企業のIPO支援、DX戦略などアパレル産業以外に業務は拡大。会社のヴィジョンは小さな総合病院

著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「生き残るアパレル死ぬアパレル」「知らなきゃいけないアパレルの話」。メディア出演:「クローズアップ現代」「ABEMA TV」「海外向け衛星放送Bizbuzz Japan」「テレビ広島」「NHKニュース」。経済産業省有識者会議に出席し産業政策を提言。デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言

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