Z世代の衝撃#3 既存アパレルが古着を売っても失敗する明確な理由とは

河合 拓 (株式会社FRI & Company ltd..代表)
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日本のアパレルの余剰在庫は
下北沢の古着店では売れない理由

私はバブル世代の人間なので、学生時代に何本も履いた「リーバイスの501」を探した。私のウエストに合い、色落ちやアタリ(デニムについている傷)が絶妙なものはなかなかなかったが、100枚以上探した結果、最後の店でいいものがあった。
私は、スタイリストの野口強さんにターンアラウンドプロジェクトで大変お世話になったこともあり、彼がプロデュースしたMINEDENNIM3本持っているのだが、一本3万から5万円もする。下北沢で売っているリーバイスは、同じようなヨレ感で3000円だ。まさにゼロが一つ足りないぐらいである。

履いてみるとこれが面白い(写真参照)。ドラム缶とは言わないが、最近のテーパードパンツ(裾に従って細身になるパンツ)でなく、わたり(太ももの部分)がやたらデカくそのままストレートに下に落ちている。
新商品でこうしたものもあるが、そういうデニムが欲しい人は、下北沢に来れば良いと思う。そのダボっとしたシルエットが今っぽく大いに気に入った。もちろん、昨今流行りのストレッチデニムでないから生地は硬めだが、シルエットが懐かしい。

ネルシャツや「変な柄」のスウェット、メンズジュエリーなど、1000-3000円で綺麗に陳列され、販売員の着こなしもおしゃれだし、着ている若者も格好良い。なるほど、売れ残りであれば良いというわけではないのだなと思った。おそらく、バイヤーのセンスで店ごとに色をだし、ちょっと外したデザイン + ヨレ感とでもいうべきか、このヨレ感とチョットしたトレンドはずしがキーとなるわけだ。

大阪で、アパレル企業から売れ残り商品をバルクで買って二束三文で売る会社が急成長しているというが、おそらく、ターゲットは今でも百貨店信仰が強いグレイヘア世代のさらにアッパー層だろうと思う。彼らが下北で若者に売るのは無理だ。

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記事執筆者

河合 拓 / 株式会社FRI & Company ltd.. 代表

株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。大手通販 (株)スクロール(東証一部上場)の社外取締役 (2016年5月まで)。The longreachgroup(投資ファンド)のマネジメントアドバイザを経て、最近はスタートアップ企業のIPO支援、DX戦略などアパレル産業以外に業務は拡大。会社のヴィジョンは小さな総合病院

著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「生き残るアパレル死ぬアパレル」「知らなきゃいけないアパレルの話」。メディア出演:「クローズアップ現代」「ABEMA TV」「海外向け衛星放送Bizbuzz Japan」「テレビ広島」「NHKニュース」。経済産業省有識者会議に出席し産業政策を提言。デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言

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