ワークマン「WEB限定のキャリーバッグ完売」に見る、BOPIS導入と「顧客の棲み分け」戦略とは
フランチャイズビジネスだからこその「BOPIS」
気になるのは、なぜ「WEB限定購入、店舗受け取り(BOPIS)」の販路に限ったのか、だ。理由は2つある。1つ目は、フランチャイズ店への配慮。ECでの直送だと、売上が本部に入ってしまい、加盟店のものにならない。2つ目は、売場が限られているためだ。ワークマンの店舗にはすでに、プロ向け、一般層向け商品約2000アイテムが陳列されており、面積をとるキャリーバッグを置くことは物理的にできない。つまり、フランチャイズ加盟店にお金を落とし、売場面積を確保するためには、この方法しかなかったのだ。
苦肉の策という側面が強かった「WEB限定購入、店舗受け取り」だが、マルチユースキャリーバッグの成功により、カジュアル層向け、それも、よりニッチな商品の新たな販路としての可能性も見えてきたと柏田氏は話す。
「例えば、野外キャンプ向けの商品は、これまで、商品数が限界に近い売り場のスペースに置くしかありませんでしたが、今後はBOPISを販路として採用する可能性もあります。他にも、ジュニアサイズなど、これ以上店舗に置くことができない商品群の拡充に、BOPISを選択できるかもしれないと考えています」(同)
ワークマンのEC売上は全体の数パーセント。フランチャイズビジネスの同社はオンラインビジネスに遅れを取っていたが、BOPISという重要な販路を開拓したことによって、今後の選択肢が広がった。