小売業万事塞翁が馬

2012/03/01 00:00
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 一般的に良いと思われるニュースにも悪い側面があり、悪いと思われるニュースにも良い側面があるものだ。
 

  たとえば、景気が悪いというニュースは、小売業にとって決して追い風にはならない。それは当たり前の話だろう。

 

 消費者は将来的不安から買い控え、小売業は販売不振に陥る可能性が高いからだ。何も対策を打たなければ、売上は減少の一途を辿るはずだ。

 まあ、小売業にとって、景気が悪いことはバッドニュースと言い切ってしまっていい。

 

 ところが景気悪化は、小売業界にとって良い側面もある。

 他業界との競争で買い負けしていた新卒学生を以前よりも容易に確保できるようになっているからだ。万年、優秀な人材不足が悩みの種になっていた小売業界にとっては千載一遇のビッグチャンス到来といっていい。

 

 実際、栃木県宇都宮市に本部を置き、今年15周年を迎えるたいらやの村上篤三郎社長は、目を輝かせ、「最大のチャンス到来」と息巻く。

 同社はエコス(東京都/平邦雄社長)グループの1社。23店舗、230億円の中堅規模の企業ではあるが、近年は宇都宮大学や茨城大学などの国立大学を出て入社する学生が増えているのだという。
 

 同社には全体的に「計数管理が不得手」という弱点があったが、最近入社した社員はこのカテゴリーには当てはまらず、新日本スーパーマーケット協会(東京都/横山清会長)が実施した「スーパーマーケット検定マネージャー3級」では、約1200人の受験者の中で1番になる社員も出てきている。

 

 ところが、たいらやにとっての良いニュースは、全ての小売企業にとってプラスに作用するとは限らない。

 

 北関東に地盤を置く別の食品スーパーの経営者は、「確かに名前的には良い大学の出身者が採用できるようになった。しかし、“ゆとり教育”のせいかどうかは分からないけれども、レベルががくんと落ちているので、入社する学生の能力は以前との比較では大きく変わっていない」と言い放った。

 

「人間万事塞翁が馬」って言うのは、なかなか当たっているものだ。
 

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