お客の声と品揃え(後編)

2010/03/27 07:10
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 九州宮崎県にハンズマン(大薗誠司社長)というホームセンター企業がある。

 

 JASDAQに上場しているものの、店舗数はわずかに9つで売上高は207億円(2009年6月期)と小ぶりであることは否めない。

 

 だが、地元では、知る人ぞ知る企業で、流通激戦地の九州にあって圧倒的な存在感を見せている。

 

 同社の何よりの特徴は、「顧客最優先経営」だ。

 

 日々、従業員が接客し、消費者の品揃えに関する意見を聞きだし、「要望商品メモ」としてまとめる。9店舗から集められる「要望商品メモ」は、1ヶ月で電話帳1冊分の厚さに及ぶというが、トップは、全てに目を通している。

 

 そして、即座に対応できるものと対応には時間を要するものに分類。即座に対応できるものは可能な限り早く、時間を要するものについては、2年間に1度のペースの新店開業時をデッドラインに設定して、商品開発に努める。

 

 この結果、最新店舗の開業時には、新たに約3万アイテムを導入。総アイテム数は18万になった。

 「接客が全てだと思う。たとえば、お客様にせっかくお越しいただいたというのに、手ぶらでお帰りいただくのはあまりにもさびしい。だから手ぶらでお帰りのお客様にはとくにお声掛けして、ご意見をうかがい、『要望商品メモ』として本部に報告してもらうような仕組みをつくっている」(大薗社長)。

 大薗社長の持論は「人の2倍から3倍の努力では追いつかれる。しかし5倍から6倍努力すれば、追いつかれない」。ハンズマンは、チェーンストアではないが、こうした商売の仕方で消費者から大きな支持を集めている。

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