「悪い円安」貿易赤字5兆円=海外に所得流出、景気下押し

時事通信
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 急激な円安進行が高騰するエネルギーの輸入額を一段と押し上げ、貿易赤字が拡大している。財務省が20日発表した2021年度の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支の赤字は5兆円を超え、過去4番目の大きさを記録。赤字は今後も続く見通しで、「悪い円安」が所得の海外流出につながり、国内景気を下押す懸念が強まっている。

 21年度の貿易収支の赤字額は5兆3749億円だった。原油や石炭、液化天然ガス(LNG)の輸入額が急増しており、東日本大震災後に原発が稼働休止となって火力発電用の燃料輸入が増えていた14年度以来、7年ぶりの赤字幅。今年3月の貿易収支も4124億円の赤字で8カ月連続のマイナスとなり、赤字基調が定着している。

 今後も貿易収支の改善は見通せない。2月下旬のロシアによるウクライナ侵攻を受け、原油価格の代表的な指標である米国産WTI先物は一時、1バレル=130ドルを突破。その後も100ドル前後と高い水準で推移する。「4月以降に貿易赤字がさらに悪化する可能性もある」(みずほ証券の片木亮介マーケットエコノミスト)とされる。

 円安は企業の輸出を促す面があるものの、生産拠点の海外移転でこうした効果も落ちている。一方、資源のほとんどを輸入に依存する日本では、円安と資源高の同時進行は輸入価格の上昇により海外への巨額の所得流出につながる。

 ニッセイ基礎研究所は21年度の所得流出額が11.8兆円、22年度は10.3兆円に上ると試算する。同社の斎藤太郎経済調査部長は「国内企業と家計の実質購買力の低下を通じて国内需要の下押し圧力になる」と指摘している。 

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