事業本部制から機能本部制へ 大規模な組織改編を実施したビームスのEC強化戦略とは

2022/08/09 05:56
野澤正毅
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ビームス(東京都/設楽洋CEO)は、強力なリアル店舗網を擁しているが、コロナ禍を経てなお、EC売上も順調に拡大している。そこで、2021年9月、大掛かりな組織改編を断行、各レーベル(ブランド)をベースにした事業部制から、企画生産・販売といった、機能別の組織にリモデルした。各レーベルを持つ事業本部ごとに分散していた店舗やEC機能を一括で管理することで、ECとリアル店舗のリソースを有機的に活用することが最大の狙いだ。同時に、リアル店舗のリソースを活用、店舗の販売スタッフがWEB上で顧客のQ&Aを担当する「チャット接客」といった新しい取り組みも試験導入するなど、OMO(オンラインとオフラインの融合)を推進する。

デジタル売上が約3割、その半分は自社サイト

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 ビームスは2005年、ZOZOTOWNに出店したことでECに乗り出したが、2009年には自社ECサイトも開設。さらに2016年には、公式サイトとECサイトを統合する形でビームス公式サイトをリニューアル、店舗スタッフがアカウントを持ちコーディネートやブログを発信するスタッフ投稿と言われるメディア機能を拡充した。その背景には、「自社プラットフォームの構築によって、“ビームスらしさ”をより打ち出したいという狙いがあった」と、同社カスタマーエンゲージメント本部長の渡部啓司氏は明かす。

 同社のサイトは、情報量が多いのが特徴。ブログや動画などのスタッフ投稿も多く、ファッションに関する記事など、商品情報以外のコンテンツも豊富だ。コンテンツは、一部のアウトソーシングを除いて基本的に社内制作のオリジナル、というのもポイントだろう。年間来訪者は現在、延べ約1億人を超え、「自社ECのお客さまのうち、約60%がスタッフ投稿のコンテンツをご覧になってから商品を購入している」(渡部氏)

 同社のEC売上は2016年以降、年々拡大し、コロナ禍を経てもなお順調に推移している。ECは、今やリアル店舗と並ぶ重要な販路に成長している。「サイトで商品を見つけて、店舗で試着してから買う」といった、ネットとリアルを併用する購買パターンも含めた自社指標の「デジタル売上」は現在、全社売上の約30%前後だという。

 「デジタル売上の半分ほどが自社サイト経由になっている。一方で、ZOZOTOWNさんへの出店も継続している。自社サイトはリアル店舗と同じで、3040代前半が主客層だが、ZOZOTOWNさんは20代に圧倒的に強い。またECモールのため、他社さんからの買い回りで集客力も高い。それぞれの長所を生かすべきと判断している」(同)

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