総菜SPA化に本腰!イオン「次世代型総菜PC」の全貌とねらい

北野 裕子(ダイヤモンド・チェーンストア編集部)
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イオン(千葉県/吉田昭夫社長)は6月から、総菜のSPA(製造小売)化をより高いレベルで実現するべく、総菜の新たなプロセスセンター(PC)の稼働を始めた。食の多様化が進むなか、食品スーパー(SM)で販売する総菜にもプロの料理人のクオリティが求められつつある状況を踏まえ、商品開発から販売までの工程を刷新。開発・製造・販売の3領域を革新し、新PCのコンセプトとして掲げる「まいにち、シェフ・クオリティ」の実現を図る。

”総菜の固定観念”を打破する戦略的拠点に

戦略発表会に登壇したイオンリテールの井出武美社長とイオン執行役物流担当の手塚大輔氏(中央2人)
戦略発表会に登壇したイオンリテールの井出武美社長とイオン執行役物流担当の手塚大輔氏(中央2人)

 今回稼働を開始した総菜PCの名称は「Craft Delica Funabashi(クラフトデリカ船橋)」。千葉県船橋市で開設し、イオン傘下のイオンフードサプライ(千葉県/戸田茂則社長)が運営する。温総菜や寿司などのほか、半加工品(キット商品)やソースの製造、原料の加工なども行い、イオンリテール(千葉県/井出武美社長)のほか、まいばすけっと(神奈川県/岩下欽哉社長)など、イオングループが展開する関東エリアの計1500店舗に供給する。

 クラフトデリカ船橋の設置の背景としてイオンリテールの井出社長は、「これまでの総菜は家庭の食卓の補助的な役割が大きく、提供する商品も家庭的なメニューを中心とした、いわば”固定観念化”したものとなっていた」と指摘。一方で近年は食に関する好みが多様化していることから、そうした固定観念にとらわれずに幅広い食のニーズに応えるため、2021年からイオン、イオンリテール、イオンフードサプライの3社でグループ横断型のプロジェクトを立ち上げたという。 

 その枠組みの中で、食の多様化に対応しながら総菜の品揃えを拡充するには、PCと店舗のそれぞれで生産性を高める必要があるとして、クラフトデリカ船橋の開設に至った。井出社長は「総菜はますます食品部門の柱になっていく。固定観念を打ち破る総菜開発に挑戦する」と強調した。

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