清水信次会長 「消費税増税はいまではない」
5月18日、ライフコーポレーション(大阪府/岩崎高治社長)の清水信次会長兼CEO(最高経営責任者)が日本チェーンストア協会(東京都)の会長として記者会見を開いた(@ホテルニューオータニ)。自らも渦中にある最近の業界再編について問われると、「業界再編と寡占化は資本主義の業である」と重みのある一言。ここでは消費税増税についての清水会長の持論を記す。(談:文責・千田直哉)
「2月5日に野田総理にお会いし、消費税増税についての意見を求められた。(食事をご馳走になり)買収されたと批判されるのも嫌なので、日本チェーンストア協会の井上淳専務理事に同行してもらい2時間ほど話をした。野田総理は大平正芳総理に似て非常に良い男だ。ただ惜しむらくは、戦後生まれで圧倒的に経験が不足していることである」
「世界各国で消費税を導入しているのは135カ国に上る。最高税率は25%。最低は5%の台湾、カナダ、日本の3カ国。その意味では、消費税率は10%程度までの引き上げは仕方ないと言えるだろう」
「しかし税率アップの時期を考えて欲しい。現在の日本をしっかり目視すべきだ。GDP(国内総生産)は470兆円に減少した。また税収は、ようやく42兆円に戻ったところ。バブル期との比較では、それでも3分の2の水準だ。デフレは止まらず、インドや中国などの新興国と伍して戦っていかなければいけない。こんな時期に不退転の決意で政治生命を賭けて消費税率は上げるというのは、いかがなものか?」
「消費税増税の必要性は分かる。しかし、やり方と時期が違う。大体、東日本大震災から1年間も経過しているのに瓦礫の撤去も始まっていない体たらくだ。電力不足問題にしても過去1年間でどんな対策を打ったというのか? 政治は、目先の問題に議論ばかりしており、小手先の対策しか講じていない。政治生命を賭けるのであれば、こうした本質的な問題に取り組んでしかるべきだ」
「いまの政治は、内向き・下向き・後ろ向きの議論しかしていない。世界一良い国であり、世界一素晴らしい国民が住まう日本という国を政治の欠陥がおとしめている。もっと抜本的な対策を打ち、外向き・上向き・前向きに流れを変えてほしい。その後であれば、消費税増税も可能だろうし協力もしたい。改めて断言するなら、現状では賛成しかねる」
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