反動減に値上げラッシュ、コスト増直撃! 上場小売業2022年度決算全まとめ
小売業の2022年度決算(22年4月~23年3月に迎えた本決算)では、主要7業態のうち増収だったのは2業態にとどまり、本業の“稼ぐ力”を示す営業利益では3業態が減益となった。前年度に巣ごもり特需の恩恵を受けた業態はその反動減の影響が大きかったほか、世界情勢を背景とした値上げラッシュ、エネルギーコストの上昇など強い逆風にさらされた小売業の22年度決算。各業態・各指標のランキングはどう変化したのか。
コスト上昇の影響甚大、各業態とも減益基調に
小売各社の業績を主要業態別にまとめたのが図表❶だ。
増収・営業増益となったのはドラッグストア(DgS)の1業態のみだった。前年度に続いて増収・営業増益を果たしたDgS。2022年度は、電気代を中心とした水道光熱費の高騰により営業減益となった企業が一部あったものの、各社の出店意欲は依然として旺盛で、コロナ特需の反動の影響が薄まったこともあって業績はおおむね好調だった。
増収・営業減益となったのは、食品スーパー(SM)の1業態。コロナ禍での内食需要拡大からの反動減、ロシアのウクライナ侵攻や円安を背景とした仕入れ原価の上昇、それに伴う粗利益率の悪化と、22年度のSMは強い逆風にさらされた。その中でもとくに影響が大きかったのが電気代の高騰だ。店内に多くの冷蔵・冷凍ケースを設置するSMは、ほかの業態と比べて電気代上昇の影響が大きく、各社とも利益確保に苦戦した。
減収・営業増益となったのは、総合スーパー(GMS)とコンビニエンスストア(CVS)、百貨店の3業態だった。ただし、このうちGMSと百貨店の減収は、「収益認識に関する会計基準」(新収益認識基準)の影響によるところが大きい。
新収益認識基準では、商品が販売されると同時に仕入先から仕入れとして計上する「消化仕入れ」や、テナント売上高の会計処理の考え方が変わる。そのため適用後は、
決算ランキング2023 の新着記事
-
2023/06/30
食品スーパーの22年度が“トリプルデメリット”でもヤオコー、ベルクが強かった理由 -
2023/06/30
外食業の22年度決算、上位10すべて増収も、利益確保に苦戦、ゼンショーは大幅増益 -
2023/06/30
ファストリ10兆円越え、ZOZOは40%!上場小売業時価総額&ROAランキング! -
2023/06/29
アパレル、通販、靴、スポーツ用品など12業態134社の2022年度業績を一挙公開! -
2023/06/28
家電量販店22年度決算分析&ランキング 物価高と特需反動に苦戦、次なる一手は? -
2023/06/28
コロナショックから一転、完全復活をめざす百貨店決算ランキング2023!
この特集の一覧はこちら [13記事]
関連記事ランキング
- 2024-06-26上場食品スーパー決算ランキング2024 好決算目立つも格差拡大
- 2024-06-26上場全19社が増収!ドラッグストア決算ランキング2024
- 2024-07-11リニューアルでロピア化した「スーパーバリュー草加店」の売場を解説!
- 2024-06-19インバウンドで最高益続出!日本人が知らない「百貨店の価値」とは
- 2024-07-01スマホ1つでレジまで…進化するスーパーマーケットアプリの現在地
- 2024-06-20現役ドラッグストア店員が分析するマツキヨ渋谷旗艦店の凄さと懸念
- 2024-06-17フードウェイ上大岡mioka店の売場づくりを徹底解説!横浜3店目
- 2024-07-12「地場DS」でわずか5店舗でも競争勝ち抜く日東物産の戦略
- 2024-07-05人手不足時代に小売業がとるべき2つのアクションとは
- 2024-07-05あのチェーンも導入!食品スーパーの「量り売り」、成功の秘訣は?
関連キーワードの記事を探す
ロピア、初のFC、初の沖縄店舗を徹底調査!本土と同じ点、違う点とは
週刊スーパーマーケットニュース Uber Eatsが人手不足と「食料品アクセス問題」を解決
上場食品スーパー決算ランキング2024 好決算目立つも格差拡大
コーナングループ入りで建デポが生まれ変わった理由=建デポ竹内社長
ホームセンター決算ランキング2024 軒並み苦戦もあの企業は増収増益!
週間コンビニエンスストアニュース ローソン、人気の「町中華」を商品化
コンビニ23年度決算、大手3社が揃って好決算、新たな取り組み進む
人気アナリストが解説、主要小売7業態決算総括と24 年度の展望
ファストリ12 兆円越え!上場小売業時価総額&ROA ランキング2024
人気アナリストが解説、主要小売7業態決算総括と24 年度の展望