『リアル店舗の逆襲 対アマゾンのAI戦略』リテールAI研究会著(日経BP社/1800円〈本体価格〉)

リアル店舗の逆襲

 レジレス決済で、AI(人工知能)カメラが店内の顧客行動も分析するスマートストア──。2018年2月、福岡県を本拠にディスカウントストアを展開するトライアルカンパニー(楢木野仁司社長)が「スーパーセンタートライアルアイランドシティ店」を出店し、流通業界関係者の耳目を集めた。


 このスマートストアの事例から始まり、本書はリアル店舗を展開する国内小売業によるAIを活用した最新事例をふんだんに紹介している。


 著者は「リテールAI研究会」で実務に携わっているメンバーが中心だ。同研究会は、小売企業だけでなく、食品・日用品メーカー、卸売企業が参加し、流通・小売業の新たなマーケティング手法や業務効率化をAIによって実現することを目標にしたグループである。小売企業の事例としては、ほかにもドラッグストアを約200店舗展開しているサツドラホールディングス(北海道/富山浩樹社長)によるAIを活用したアプリ開発を解説している。


 サツドラHDはトヨタ自動車と共同で地域情報案内アプリ「おねがいナビ」の開発に取り組んでいる。サツドラHDの共通ポイントサービスから取得できる属性データと、トヨタが持つ施設情報、道内のイベント情報を掛け合わせ、アプリ利用者にオススメの施設やイベント情報をレコメンドする機能を持たせた。ほかにも同社はAIを活用し、「健康ポイント」の導入や「シェア自転車」などの実験を行っているという。


 さらに、本書は小売企業の取り組みだけでなく、ビッグデータを商品開発やマーケティングに生かしたメーカーの事例や、卸売企業による物流センターの効率化などの事例も紹介している。

 川上から川下まで、業種にかかわらずAIを活用したデジタル化を推進する立場にある方にオススメの一冊である。


(『ダイヤモンド・チェーンストア』2018年7月1日号掲載)