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お客様の感動は、私たちにとっては、これ以上はない贈り物です。「この仕事をしていてよかった!」と心から思えるとき、働く意味、大事な人生の瞬間が、きらきらと輝いてくるのです。
「おもてなし」はかたちではありません。お客様に最高のものを提供しようとする、私たちの心、仕事の姿勢です。

第1回

2012年7月31日

生き生きと働いているかどうかは、
しっかりお客さまに伝わっています。

マニュアルが逆効果となるとき

 

渡邊 訓子(わたなべ くにこ) ジーエスエデュケーション専務取締役。 追手門学院大学英米語学文学科卒業後ヒルトン大阪に勤務、その後国内外に多数ホテルを持つホテル運営・運用会社の日本事務所勤務や大手企業の役員秘書、企業内研修事業コーディネーターの経験を持つ。 現在は多数の企業のトレーニング事業をサポートする中、専門学校、大学でホテルビジネスを教えており、多くの学生の就職指導、キャリアップ指導を行っている。

 接客の場で働くスタッフは、制服を着てゲストの前に立てば、新人も経験者も関係ありません。ゲストは良質のおもてなしを受ける権利があります。

 

 多くのスタッフを抱える企業にとって、良質のおもてなしを維持するために存在しているものがあります。それは「マニュアル」です。「マニュアル」という存在は使い方を間違えれば「マニュアル人間」を育成することになり、良質のおもてなしを維持するためのものが、逆効果をもたらすことがあります。

 

 先日、あるホテルのラウンジで打合せをしていました。そこで働く若い女性スタッフはコーヒーのオーダーを取る声が震えていました。彼女の1m後ろには怖い顔をした女性スタッフ(彼女の教育係と思われる)が彼女を監視していました。

 

 言葉遣い、振る舞い、飲み物の給仕方法等、私が見る限りでは完璧でした。もっと自信を持てばいいのに、何をそんなに緊張する必要があるのか?と思いました。彼女が去ると、同席していた方が一言「彼女は怒られてばかりなのだろうね。」とおっしゃいました。たしかに、彼女の姿は厳しすぎる親に萎縮している子供のようです。

 

 ラウンジ全体を見渡すと、彼女のようなスタッフが数名います。

 

 自分で考えて、自分らしく行動することを抑圧されているようにしか見えない接客は、本来ゆったりとした雰囲気を生み出すはずのラウンジの空間を、凍てついたコンクリートで四方を囲まれたような緊迫した空間に変えていました。

 

  決められたことをその通りに行うことだけを求めるのなら、人間がする意味はなく、ロボットを使った方がよっぽど効率的です。しかし人が行うのはなぜか、なぜその人を採用したのか?を考える時に教育の難しさを痛感します。

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