「ロピア化売場」はどう変わった?「スーパーバリュー草加店」店舗レポート

矢野清嗣
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加工食品売場はロピアとの折衷型

 加工食品・菓子・酒の売場は「ロピア化」とスーパーバリューの売場を折衷したような個性的な売場になっている。配置は前方に「即席麺」「米」「韓国食材」「スープ・即席味噌汁」「菓子」「飲料」、後方に「調味料」を陳列している。

 「即席麺」のカップ麺は大型サイズのみの扱いで日清食品「カップヌードルBIG」(199円)、東洋水産「赤いきつね特盛り」(159円)を販売。袋麺は単品約100品目、「5袋入り」23品目を扱う。特に単品は盛岡市小山製麺「中村家監修帆立ラーメン」や愛知県小笠原製麺「瀬戸内レモンラーメン」など地方名産品を強化している。

 「韓国食材」はロピア新店では縮小しているが扱っており、16尺で「菓子」「調味料」「飲料」「即席麺」を展開。「米飯関連」は12尺。ふりかけを6段棚の2段で展開する。「飲料」は広告を打ったサントリー「伊右衛門緑茶2ℓ」(129円)を打ち出し、水はPB「SVセレクト」の「天然水2ℓ×6」(339円)を販売している。

 後方の「調味料」はカテゴリーによってめりはりを付けている。たれはロピアのオリジナル商品である丸越醸造をはじめ、山梨市のメーカーである味研や焼き肉店の叙々苑、南信州にある小池手造り農産加工所の商品など扱いは幅広い。

ロピアのグループ会社、丸越醸造が製造している「炭火焼肉のたれ」

 スパイスは18尺でエスビー食品を軸に展開し、ほりにしの「アウトドアスパイス」は加工肉のエンドに配置している。みそは12尺・74品目。マルコメなどの売れ筋に加え、ますやみそ「白みそ」、フンドーキン「無添加あわせみそ」、秋田浅利佐助商店「秋田みそ」などこだわりを見せる。めりはりを付けているものの、陳列方法はスーパーバリューのスタイルだ。

片栗粉でもPB「SVセレクト」を展開していた

 「酒」は売れ筋商品をベースにオーソドックスで堅実な対応。ビール系飲料と缶チューハイを重視した構成となっている。

 「菓子」は前方の5レーンとレジ前で展開。注目は地域名産品である草加せんべいのコーナーを12尺・31品目で展開している点で「富士あられ本舗」「草加葵」「風見製菓」「栗原園」「川島屋」などの商品をギフト商品から袋物、大袋まで扱う。菓子大袋は21尺・7段で約83品目を扱っており、「ロッテ・チョコパイ9個」(299円)、「不二家・カントリーマアム19個」(199円)、「ブルボン・アルフォートファミリーサイズ」(199円)など売れ筋を価格訴求する。とくに力を入れているのが駄菓子・キッズ菓子で週末は子供が集まっていた。菓子売場はめりはりがあり、コンパクトにまとまっている。

30代~40代のファミリー客が増加

 今回の改装で店舗にはどんな変化があったのだろうか。大きく変化したのは客層だ。同店の2階にある衣料専門店「サンキ」のスタッフに話を聞くと「子供連れなどお客が増えた」、店前のコンビニも店内テナント業者も「年配者が減り、30代~40代のお客が増えた」とのことで、客層が若返っているようだ。客層の変化は競合店にも影響を与えそうだ。

 調査は改装して40日余り経過しており、売場には落ち着きが出てきていた。立地は週末型店舗だが、「平日でもお客の入りはいい」と駐車場スタッフは話していた。改装して客数が増えたのは間違いない。

 駐車している車を見ると「春日部」ナンバーが8割を占めているが、「足立」「越谷」「川口」ナンバーも見掛ける。「ロピア化」は商圏拡大を伴い、地域での存在感を高めたようだ。

 改装に伴って生鮮売場や日配売場が「ロピア化」されたが、売場を見た全体の印象はスーパーバリューらしい「親しみやすさ」のようなものが残されていた。ロピアの店舗は各部門が前に出ようとする意欲にあふれ、それぞれの売場に個性を感じるが、スーパーバリューは通常のスーパーマーケットのスタイルであり、バランスを重視しているのかもしれない。グループ入りしたとはいえ、スーパーバリューの企業文化はまだ残っているようだ。

 ただロピアの商品構成や販促スタイルに慣れてくれば、この先はよりロピア化が進行していく可能背が高い。最大の課題は従業員の意識改革であるのかもしれない。

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