東武百貨店が自社社員だけでなく取引先従業員の情報格差をDXで改革したワケ

染谷 剛史 (HataLuck and Person代表取締役)
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コロナ禍を受けて、百貨店や商業施設の運営においてもデジタルトランスフォーメーション(DX)による業務の革新は不可避であり、デジタルの力で既存業務の何をどう変えていくのか、実際に取り組んでいくフェーズに入っています。今回は、「東武百貨店 池袋本店」(東京都豊島区)の事例を基に、百貨店運営における新しいDXの潮流について考えてみたいと思います。

東武百貨店 池袋本店
東武百貨店 池袋本店

DXは消費者向けから従業員向けまで

 百貨店業界におけるデジタル化は「対消費者」から始まりました。消費者にはコロナ以前からオンラインでの購買体験が浸透していましたが、さらにオムニチャネル、次いでOMO(オンラインとオフラインの融合)というコンセプトが付加されていきました。

 最近ではコロナ禍を経て、バックオフィス業務の効率化に着目する企業も増加し、DXの方向性も「対従業員」へとシフトしています。たとえば、百貨店という同じ館に多くの従業員が勤務するなかで、一人ひとりに対して、正確な情報をいち早く伝えるためにもデジタルツールの活用が不可欠です。DXによってアナログ作業にかかっていた手間と時間を軽減することで、バックオフィスの人員を増やすことなく業務効率化が可能になるためです。

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記事執筆者

染谷 剛史 / HataLuck and Person代表取締役
1976年、茨城県生まれ。大学卒業後リクルートグループに入社。アルバイト・パートの求人広告営業を経て、営業企画・商品開発を担当。2003年、株式会社リンクアンドモチベーションに入社し、サービス業の採用・組織コンサルティングに従事。2012年に同社の執行役員に就任し、新規事業開発やカンパニー長を歴任した後、2017年にナレッジ・マーチャントワークス(現HataLuck and Person)を設立。

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