日本酒市場、食とのクロスMDを強化し日本酒とのタッチポイント増やす

文:石山 真紀(フリーライター・売場研究家)
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日本酒(清酒)カテゴリーの金額PIおよび金額PI対前年推移

食とのマリアージュや、飲みたくなるシーン訴求を

 日本酒は気温が下がる秋口から売上が伸び、歳暮や年始の挨拶など、ギフト需要が高まる12月、1月にピークを迎えることから、各社は需要期に向け新商品の投入や既存品のリニューアルを実施している。

 大関では独自新酵母を採用しフルーティーさを向上させた「大関大吟醸」をはじめ、「上撰ワンカップコンパクト」や「大関甘酒」に新容器を採用し、幅広い客層に向けて訴求。菊正宗は「しぼりたてギンブルー」や「大吟醸ネオカップ」を新発売した。白鶴酒造は白ワインのような純米酒「Hakutsuru Blanc」に小容量の300ml瓶を加え、トライアル獲得をめざす。

 オエノングループの合同酒精では“ワイングラスで香りを楽しむ”がコンセプトの「シャトー大雪乃蔵大吟醸彗星40」「シャトー大雪乃蔵純米大吟醸きたしずく50」の拡販に力を入れる。

 日本盛は定番の「晩酌」シリーズを大規模リニューアル。辰馬本家酒造では発売15周年を迎えた「黒松白鹿純米パック」のパッケージをリニューアル、併せてキャンペーンを実施する。沢の鶴は低アルコールの純米酒「SHUSHU Light」やワンランク上のパック酒「特別純米酒山田錦」の販促を強化する。

 今後、日本酒の市場を広げていくには、若年層や女性など、今まで日本酒を手に取ってこなかった客層のトライアルが必要不可欠だ。コロナ禍以降広がった家飲みの習慣から、30~50代など比較的若い世代も日本酒に挑戦し始めており、自分事としてとらえられるような施策でトライアルにつなげることが、マーケットの拡大につながるだろう。

 定番売場で日本酒の特徴を紹介するだけでなく、食材とのマリアージュやシーン提案、総菜とのクロスMDなど、アウト展開も仕掛けることで日本酒とのタッチポイントを増やし、カテゴリーを盛り上げていきたい。

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