カレー市場、時短・簡便・本格感を備えた新しいルウカレーが台頭
少子高齢化や世帯人数の減少により中期的に縮小傾向にあるルウカレー市場。各社では時間をかけず手軽につくれるルウカレーの提案で食卓登場頻度アップをめざしている。一方、伸長が続いていたレトルトカレーも、その勢いは鈍化している。魅力的な商品の投入で需要アップを図りたいところだ。
本格的な味わいのルウカレーが続々
KSP-POSデータによると、ルウカレーの期間通算(2023年6月~24年5月)の金額PIは、4971円で対前年同期比6.9%増、数量PIは21.18で同7%減となった(図表1)。価格改定の影響で数量PIでは前年割れとなったが、金額PIでは前年を上回った。

家庭の定番メニューのカレーだが、煮込み料理で調理時間がかかることに加え、世帯人数の減少により中期的に減少傾向にある。コロナ禍には手づくりカレーが人気を集めたが、需要は一巡している。各社では時間をかけずに手軽に楽しめるカレーの提案に力を入れている。
挽き肉・玉ねぎ・トマトの3種類の材料だけで、調理時間10分でできるエスビー食品の「ドライキーマカレー」が好調だ。この秋には、同シリーズとして、鶏肉とトマト缶、牛乳の3つの材料だけでつくる「バターチキンカレー」を新発売。調理時間は8分となっている。同社ではそのほかにもパウダールウを使ったラインアップを広げており、創業100周年を記念した「S&B 赤缶カレーパウダールウ」や、料理家・栗原はるみさんと共同開発した「栗原はるみ わたしのカレー」なども好調だ。
ハウス食品では「バーモントカレー」ブランドから、濃縮ペーストルウを使った「バーモントカレーシェフズアレンジ」を新発売。シェフがアレンジしたような上質な味わいのカレーを、フライパンで10分調理するだけで手軽に楽しめる商品となっている。ふくよかな甘みを感じる〈果実仕立て〉と、口当たりがなめらかでコクのある〈クリーム仕立て〉の2つの風味をラインアップした。
パウダールウと濃縮ペーストルウはともにフライパンで手軽に調理ができる時短・簡便性を備えており、少人数世帯にも対応していることから、これまでルウカレーから遠ざかっていたユーザーの獲得につながりそうだ。
また、スパイスカレーブームを背景にスパイスにこだわった商品も次々に登場している。エスビー食品ではこの秋に、こだわりのスパイス素材を独自のブレンドと加工技術により掛け合わせた「S&B CRAFTCURRY」を新発売した。ハウス食品では、「スパイスを楽しむおうちカレー」というブランドコンセプトの「X-BLEND CURRY(クロスブレンドカレー)」の辛口を新発売。単純な辛さではなく、種々のスパイスと調和することで生み出した華やかな香りと辛さが感じられるルウカレーだ。
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