尖った店づくりめざすベイシアが新PB「ベイシアプレミアム」を開発する理由とは
ベイシア(群馬県/相木孝仁社長)は2023年3月、新たなプライベートブランド(PB)「Beisia Premium(ベイシアプレミアム)」を立ち上げた。「より良いものをより安く」というベイシアの理念のもと、高品質・低価格をさらに訴求する。同社のこれまでのPB(以下、旧PB)と比べて具体的に何が異なるのか、刷新した内容とベイシアが描く未来のビジョンに迫る。
認知度の低さが課題だった旧PB
ベイシアがこれまでに販売していた旧PBは開発基準が明確に定められておらず、商品部内の食品各部門に属しているマーチャンダイザーがそれぞれの裁量で商品開発していた。商品マーチャンダイズ事業部・事業部長の松尾大輔氏は「カテゴリーごとにナショナルブランド(NB)商品と調和しやすいパッケージデザインが優先されており、PB全体の統一感に乏しく売場で目立ちづらいため、お客さまからの十分な認知がない点が課題だった」と振り返る。
近年ではPB商品に対する消費者ニーズが変化し、低価格を前提としつつ品質やおいしさといった価格以外の要素も重視される傾向がみられるようになった。こうした背景を鑑み22年1月、新たに「商品マーチャンダイズ事業部」を発足のうえ商品の開発基準を明確にし、価格と品質の優れたバランスを追求した新たなPBとして、このほどベイシアプレミアムが誕生した。
同ブランドはふだん使いの生活必需品を対象に、NB商品よりも安価であることを前提としながら価格と品質のバランスに優れ、ベイシアが自信をもって顧客に勧めたい商品をラインアップする。同社はベイシアプレミアムの展開により「これほどよい商品がこんなに安く買える」といった驚きや喜びの体験をお客に提供したいとする。
松尾氏は「ベイシアプレミアムの『プレミアム』は『高級』という意味ではなく、高品質と低価格を両立させる目利きとしての『プライド』と言い換えられる」と説明し、この共通認識を社内で持つことでインナーブランディングとしての役割も果たしているそうだ。
続けて松尾氏は「ベイシアの理念が掲げる『より安く』は、『安かろう悪かろう』ではなく、品質や機能が基準を満たしていることを大前提としている」とPBの商品開発における基本的な考え方を示したうえで、「この考え方が置き去りにされていないかをあらためて問い直し、目利きとしてのプライドを持って、一貫した商品開発に取り組もうという結論に至った」と「Premium」に込められた真意と開発の経緯について明かす。
統一感が生まれた新PB、売れ行きは好調に推移
23年3月以降、ベイシアプレミアム
DCS Report の新着記事
-
2024/11/16
ファストリが3兆円突破!24年8月期決算で語られた今後の成長戦略 -
2024/11/16
ライフ、自然派PB ビオラルの売上を、30 年度に現在の4 倍にする戦略とは -
2024/11/15
TTGによる無人店舗が200店舗突破!導入加速する3つの理由とは -
2024/11/15
標準店の1/4!ホールフーズ、都市型小型店の全貌 -
2024/11/15
ライフ、U.S.M.H、アークスの25 年2 月期上期決算分析!価格競争で各社減益基調に! -
2024/11/02
イトーヨーカ堂の新総菜ブランド「ヨーク・デリ」好調の理由と新体制下での注目ポイントとは
この連載の一覧はこちら [252記事]
ベイシアの記事ランキング
- 2024-11-07「Foods Park」の17店舗目はイオンの跡地に居抜きで出店!
- 2024-08-23週刊スーパーマーケットニュース カスミ、客数増で復活の兆し
- 2024-05-03酒井真弓のDXトレンド最前線、ベイシアグループを変えた人的資本経営
- 2019-05-13ベイシアが神奈川県に初出店、三浦市の県立高校跡地に5月24日オープン
- 2021-10-18レシートは語る第5回 大手食品小売のアプリ利用率比較 最高はベイシア、メーン顧客8割が使用
- 2022-04-27後発企業に学ぶ!食品スーパーのアプリ導入で大切にすべきこととは
- 2024-11-29週刊スーパーマーケットニュース ラルズ、「モーダルシフト優良事業者賞」を共同で受賞
- 2021-11-18開始から1年で劇的変化!「ぐるぐる図」で OMOを強化するベイシアのDX戦略とは
- 2022-08-04ベイシア新社長、相木孝仁インタビュー 攻めの成長戦略の中身とは
- 2022-11-21丸魚が七変化!? ベイシア新業態「Foods Park」の鮮度を”創り出す”商品づくりの妙
関連記事ランキング
- 2024-11-08怒濤の出店で1兆円が見えたロピア!大きな進化と懸念される副作用とは
- 2024-11-07「Foods Park」の17店舗目はイオンの跡地に居抜きで出店!
- 2024-11-18レシートは語る第15回 まもなく関西進出のオーケー、データでわかる競争力と成功のカギ
- 2024-11-0633億円めざすマミーマート、生鮮市場TOPセキチュー上尾店徹底解説
- 2024-11-12価格訴求から価値提案にシフト?「岡崎エルエルタウン店」で見られたロピアの進化
- 2024-11-08専門家がヤオコー久喜吉羽店を徹底分析!斬新な鮮魚改革と意外な課題とは
- 2024-11-18既存店の数字が良い企業は実践!競合スーパーが進出しても影響を受けない方法
- 2024-11-08店舗網とM&Aの歴史が丸わかり!最新ロピア勢力図MAP!
- 2024-11-20子育て世代をターゲットにするヤオコー川口SKIPシティ店の最新MDを徹底解説
- 2024-11-13繁盛店は80億円!ロピア、強烈な販売力支える「100%現場主義」の正体とは
関連キーワードの記事を探す
売上8 兆円、米国最大のリージョナルスーパー、パブリックスの強さの秘密
PB、ハイパーローカル……米国リージョナルスーパー勝利の5大戦略
視察に役立つ!ウェグマンズ、H-E-B、パブリックス勢力図MAP&解説
ライフ、U.S.M.H、アークスの25 年2 月期上期決算分析!価格競争で各社減益基調に!
TTGによる無人店舗が200店舗突破!導入加速する3つの理由とは