インフレ時代に再考すべき「商品化計画」の構築手法

桜井 多恵子(チェーンストア経営システムコンサルタント)
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新たな商品化計画の構築

 商品開発は計画的に進行させる。マーチャンダイザーやバイヤーが思いつくまま別々に、しかも単品で取り組むと、重複や無駄が発生して時間とコストをかけたほどの成果が得られないからである。

 商品部全体のエネルギーを有効活用し、最大の成果を得るには商品部長主導で開発のグランドデザインを描き、分担と優先順位を決めることが前提である。

 もちろん売れ筋品種、品目から自社ブランドへの入れ替えを進めるべきだが、現状の品揃えが完全とは言えないなかで、既存の売れ筋品目から開発品を選んでも、それが消費者の新たな暮らし方に最適なものとは言い切れないのだ。

計画 イメージ
商品開発にて最大の成果を得るには、商品部長主導で開発のグランドデザインを描き、分担と優先順位を決めることが前提である(i-stock/takasuu)

 今は大きな転換期である。30年もの長きにわたるデフレ期を通して生活者の賃金は据え置かれ、数年前から突然に始まった生活消費材の値段の急騰で生活者も商業者も方向を見失っている。この混乱状態を立て直すには現状維持は得策ではない。

 今するべきなのは生活者の暮らし方の実態を詳細に調査すること。そして自社がどの部分に関わり、彼らの生活向上にどう役立つことができるかを知ることなのである。

 そのうえで前回のソーシングの章で述べたように、チェーンストア先進国の大チェーンの品揃えとそのなかの自社ブランドの位置づけ、国内新興フォーマットの品揃えと売れ筋品種、品目を学び直すべきだ。そこから自社の品揃え方針とストアブランド(SB)化するものとプライベートブランド(PB)化するものを決めることが重要なのだ。グランドデザインを描くとはそういう意味である。

 現状を否定し、商品部門構成と品揃え方針を決定し直し、自社ブランド化の方針を決めることは商品部の最優先課題である。現状のトップマネジメントの過去の成功体験の多くは、今日では通用しないものと覚悟すべきである。現状否定ができなければ明日はない。

仕様書作成において意識すべきこと

 ソーシング活動から自社ブランドの可能性を導き出したら、

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