ロカボは1日の血糖値が安定する朝食から始めるのがベスト
健康志向を背景に緩やかな糖質制限を行う「ロカボ」の認知は年々、広がっているが、ロカボを実践するのは難しいと考えている人が多い。そこでロカボの普及に取り組む一般社団法人 食・楽・健康協会では、誰でも無理なく日常生活にロカボを取り入れてもらうために、「朝ロカボ」を提案。朝食の糖質量を見直すことで、1日を通して恩恵を受けられることがわかっている。
ロカボの基本的な考え方は、おいしく楽しく適正糖質

体を動かすための大切なエネルギー源の役割を果たしている糖質だが、摂りすぎると肥満や認知症、ガンのリスクを高め、疲労や不眠などの体調不良にもつながることがわかってきた。糖質は血糖値を上げる原因となっているため、適正な糖質摂取を心がけることで血糖値上昇を抑えることができる。極端な糖質制限ではなく、おいしく楽しく適正糖質を摂ることを推奨しているのが、北里研究所病院 副院長・糖尿病センター長の山田悟氏だ。

副院長・糖尿病センター長
山田 悟氏
「ロカボとは、糖質量を1食20~40gに抑えたものを3食と、これとは別に1日10g以下のデザートを楽しむ、1日70~130gに糖質量を抑えた食事法です。糖質以外のカロリーや脂質、たんぱく質などに制限はないので、糖質の量だけ気にしていれば、おなかいっぱい食べてもいいのです」(山田氏)
こうしたロカボの考え方を広く普及させようと、山田氏は2013年に一般社団法人 食・楽・健康協会(以下、食・楽・健康協会)を設立。ロカボの考え方に賛同する企業はロカボパートナーとして同協会に加盟し、糖質をコントロールできるロカボ商品を次々と開発している。さまざまなカテゴリーでロカボ商品が開発されるなか、消費者がそれらを認識して購入できるように16年にロカボマークが生まれた。マークの付いた商品を選ぶことで、1食あたりの糖質量を簡単に計算することができる。
朝食抜きは昼食と夕食で、血糖値が上がりやすくなる傾向
ロカボの認知が広がり、糖質制限した方が健康のためにいいとわかっていても続けられるのか不安だと考える人は多い。そこで山田氏は「糖質の摂り方を見直すなら、朝食から始めるのがベスト」だと話す。どんな健康法もさまざまな社会環境のなか、毎食それを厳守することは難しい。だが、自宅で食べる機会の多い朝食だけ糖質制限食にすることはそれほど難しくない。米国の臨床栄養学雑誌に掲載された研究結果によると、糖質制限食を朝食メニューにした群と、脂質制限食を朝食メニューにした群とでは、糖質制限食を朝食とした群の方が、血糖値が改善され、1日のエネルギー摂取量が抑えられたという。
「糖質は20~40g以下に抑え、さらにたんぱく質と脂質を十分に摂る。すると血糖値は上がりにくく、食欲が安定するので、昼食以降の食べすぎも抑えられるわけです」(山田氏)
また、【グラフ】にあるように、朝食を抜くと昼食と夕食で血糖値が上がりやすくなるデータもある。ダイエットのために、夕食で低糖質を実践する人も見受けられるが、ロカボで重要なのは朝食といえる。新生活が始まる春には小売店で「朝食フェア」を行っているが、「朝ロカボ」のメニュー提案を行うことが、小売店にとっては買い上げ点数アップになり、生活者にとっても健康維持につながりそうだ。
【グラフ】 朝食あり/なしの1日の血糖値の変化

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