「冷凍食品“だから”おいしい」 セブンイレブンが描く冷凍食品の新たな方向性

松尾 友幸 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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具材を別々に盛り付けたパスタ

 「その一方で21年度は反省点もあった」と商品本部デイリー部FF・冷凍食品シニアマーチャンダイザーの園田康清氏は話す。売場が広がったため、多くの新商品を投入したが、必ずしもヒットするとは限らなかった。また、売場が拡大したとはいえ、狭いCVSの店内で品揃えできる数には限りがある。さらに、他のカテゴリーとのシナジーや冷凍食品ならではの価値創造などにも課題が残る。加えて、独自性の高い商品を開発しても、すぐに他社にマネされてしまうという「同質化」も悩みの種だった。

 これまでは弁当や総菜をつくる工場で冷凍食品を製造していたが、22年度には冷凍食品専用の工場が稼働し、安定した商品供給ができる体制が整う。前述の課題や反省点を踏まえ、セブンイレブンは「原材料」「設備」「レシピ」を軸に長年培ってきた自社の商品開発のノウハウと、冷凍食品業界の凍結技術や効率化設備などの知見を組み合わせ、他社に簡単にマネされない、冷凍食品であることの優位性を生かした独自の商品開発に取り組む。

今回発表された2種類のパスタには、出来立て感を表現するため具材ごとに製造工程を分けている
今回発表された「金の蟹トマトクリーム」「金のボロネーゼ」

 たとえば、「金の蟹トマトクリーム」では、カニ、トマトソース、クリームソースが別々に盛り付けられている。レンジで温めて食べるときにはじめてそれぞれの具材が混ざり合い、「香りや食感にコントラストが出るようにした」(園田氏)という。

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記事執筆者

松尾 友幸 / ダイヤモンド・チェーンストア 記者

1992年1月、福岡県久留米市生まれ。翻訳会社勤務を経て、2019年4月、株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア入社。流通・小売の専門誌「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属。主に食品スーパーや総合スーパー、ディスカウントストアなど食品小売業の記者・編集者として記事の執筆・編集に携わる。趣味は旅行で、コロナ前は国内外問わずさまざまな場所を訪れている。学生時代はイタリア・トリノに約1年間留学していた。最近は体重の増加が気になっているが、運動する気にはなかなかなれない。

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