「冷凍食品“だから”おいしい」 セブンイレブンが描く冷凍食品の新たな方向性
具材を別々に盛り付けたパスタ
「その一方で21年度は反省点もあった」と商品本部デイリー部FF・冷凍食品シニアマーチャンダイザーの園田康清氏は話す。売場が広がったため、多くの新商品を投入したが、必ずしもヒットするとは限らなかった。また、売場が拡大したとはいえ、狭いCVSの店内で品揃えできる数には限りがある。さらに、他のカテゴリーとのシナジーや冷凍食品ならではの価値創造などにも課題が残る。加えて、独自性の高い商品を開発しても、すぐに他社にマネされてしまうという「同質化」も悩みの種だった。
これまでは弁当や総菜をつくる工場で冷凍食品を製造していたが、22年度には冷凍食品専用の工場が稼働し、安定した商品供給ができる体制が整う。前述の課題や反省点を踏まえ、セブン–イレブンは「原材料」「設備」「レシピ」を軸に長年培ってきた自社の商品開発のノウハウと、冷凍食品業界の凍結技術や効率化設備などの知見を組み合わせ、他社に簡単にマネされない、冷凍食品であることの優位性を生かした独自の商品開発に取り組む。
たとえば、「金の蟹トマトクリーム」では、カニ、トマトソース、クリームソースが別々に盛り付けられている。レンジで温めて食べるときにはじめてそれぞれの具材が混ざり合い、「香りや食感にコントラストが出るようにした」(園田氏)という。