平和堂2024年度決算、連結は増収増益も単体では減益着地 カギを握る「3つの重要戦略」
平和堂(滋賀県/平松正嗣社長)は4月3日、2025年2月期の通期決算を発表した。連結業績は増収増益となったものの、平和堂単体では販促政策で想定していた結果が出ず、粗利益確保に苦戦。営業利益および経常利益は2期ぶりの減益着地となった。
単体は2期ぶり減益も、客数増加で手ごたえあり
平和堂の25年2月期通期決算(連結)は、営業収益が同4.6%増の4449億円、営業利益が同0.8%増の134億円、経常利益が同1.1%増の146億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同58.1%増の1073億円で増収増益だった。総菜加工センターを運営するベストーネ(滋賀県)や、ビル管理を担うナショナルメンテナンス(滋賀県)といった同社の連結子会社の好調が寄与したかたちだ。
一方、平和堂単体の業績は、営業収益が同6.0%増の4037億円と増収だったものの、営業利益は同5.8%減の103億円、経常利益は同1.8%減の121億円と減益で着地している。
増収要因は、客数の好調だ。期中は主力の食品部門の既存店客数が同3.6%増と好調に推移。また、頻度品の値下げや大容量商品の導入、「無印良品」や「ロフト」といった人気テナントの誘致も増収に貢献した。
ただ、単体の営業利益と経常利益は2期ぶりの減益に転じている。期中は戦略的に粗利益率を下げて商品価格を抑える価格政策を推進していたものの、売上へのインパクトが想定よりも少なく、十分な粗利益高が確保できなかった。また、売上が伸びたことで商品発注をはじめ販売計画の精度維持に苦戦し、品切れ・値下げロスが発生。全体の粗利益率を押し下げた。
このほか、子会社ベストーネの「プロセス・デリカセンター」の活用を拡大したことで、平和堂単体の生鮮食品の値入率が低下。25年2月期における生鮮食品の粗利益率は26,5%と同1.1ポイント減少。非食品を含む全体の粗利益率も26.3%と前期から0.5ポイント低下している(いずれも平和堂単体の数値)。この粗利益率の低下により、営業利益・経常利益ともに減益に転じた格好だ。
こうした結果を受け、26年2月期は受発注におけるオペレーションの見直しや価格設定の調整を行い、粗利益率の向上を図る。「オペレーションの見直しだけでも、粗利益率は1〜2ポイント改善できるだろう」(平松正嗣社長)。
なお、平和堂単体の当期純利益については、政策保有株式売却による特別利益があったことに加え、24年2月期に計上した能登半島地震関連の特別損失が発生しなかったことから増益となっている。