アナリストがバローHDを徹底分析!店舗網は若い、意外な課題とは?

文:柳平 孝 (いちよし経済研究所主任研究員)
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アナリスト、そして株式市場はバローホールディングス(以下、バローHD)の収益性や成長性をどう評価しているのか。今後バローHDの将来を占ううえでポイントになることは? いちよし経済研究所の柳平孝氏が解説、やや辛口の提言をする。

業績回復が続く!

 バローHDの業績回復が続いている。

 2024年3月期第1四半期(4-6月)実績は連結営業収益が対前年同期比5.2%増収、営業利益は同6.1%増益と、増収営業増益となっている。販売動向においても、コロナ禍を背景とした需要増大の反動減は概ね一巡したとみられ、4-8月累計の既存店増収率を見ると、食品スーパー(SM)は前年同期比4.3%増、ドラッグストア(DgS)は同6.0%増と好調で、いずれも24年3月期会社計画の既存店増収率(SM:前期比0.0%、Dgs:同1.5%増)を大きく上回っている。ホームセンター(HC)は対前年同期比1.5%減にとどまり、会社計画(同0.0%)を下回っているものの、他の上場HCの既存店の苦戦と比べると堅調に推移している。

 こうした業績動向を反映するかたちで同社の株価も上昇基調で、今春以降の株価上昇率は3月末終値比13.5%増となっている(3月末終値1926円→本稿執筆時9月22日終値2190円)。業績・株価ともに一見、順調だが、SM最大手ライフコーポレーションの同期間における株価上昇率(同40.6%増)やアークスの同20.1%増と比べると、見劣り感は否めない。

バロー外観
堅調に推移している業績動向を反映するかたちで、株価も上昇基調のバローHD

バローHDの収益力を分析

 一方、バローHDに対する株式市場の評価は必ずしも高いとはいえないのが実情だ。代表的な投資指標の1つであるPBR(株価純資産倍率)を見ると、同社は0.8倍にとどまる。PBRとは、株価を1株当たり自己資本(BPS)で割った値で、株価が自己資本の何倍まで買われているかを示す。上場企業におけるPBR1倍割れは株価が解散価値を下回っていることを示し、問題ありと解釈される。

 結論から言えば、

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柳平 孝 / いちよし経済研究所 主任研究員

1991年北海道大学経済学部卒、同年大和総研入社。小売業界アナリストとして、INGベアリング証券(現マッコーリーキャピタル証券)、日興シティグループ証券(現シティグループ証券)などを経て、2011年1月より現職。公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員

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