日常化するTOB、島忠の次はどこだ!?狙われやすい小売業とは

椎名則夫(アナリスト)
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まだまだ残る、低EV/EBITDA倍率の小売企業

  ではスクリーニングをしてみよう。ここでは手もとの資料で、売上高経常利益率4%以上、EVEBITDA倍率が6倍以下の企業をのなかで、本稿の文脈に沿うものを抽出している。()内は主な業種。

  • ナフコ(ホームセンター)
  • あさひ(自転車専門チェーン)
  • ノジマ(家電専門店)
  • コメリ(ホームセンター)
  • ケーズホールディングス(家電専門店)
  • クオールホールディングス(調剤薬局チェーン)
  • マミーマート(スーパーマーケット)
  • コーナン商事(ホームセンター)

  以上、8社抽出できたが、かなりの企業数ではないだろうか。TOBが定着化した今日、これら企業経営者は従来以上の積極性が問われる。資本効率を意識した収益力向上策と成長投資を着実に実行し投資家とのコミュニケーションによって彼らの理解を得ること、自らM&Aに打って出て再編の主導権をとることだろう。このように考えると多くの企業がリストアップされたホームセンター業界は、ポストコロナ禍を見据えながら、周辺業態を巻き込んでますます合従連衡が進むと思われる。目の離せない局面がまだまだ続きそうだ。

 

プロフィール

椎名則夫(しいな・のりお)
都市銀行で証券運用・融資に従事したのち、米系資産運用会社の調査部で日本企業の投資調査を行う(担当業界は中小型株全般、ヘルスケア、保険、通信、インターネットなど)。
米系証券会社のリスク管理部門(株式・クレジット等)を経て、独立系投資調査会社に所属し小売セクターを中心にアナリスト業務に携わっていた。シカゴ大学MBA、CFA日本証券アナリスト協会検定会員。マサチューセッツ州立大学MBA講師

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