オイシックスらが行うフードパントリー活動が、サポート企業を50社以上に広げられた理由

松岡 瑛理
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食品提供から体験提供へ支援を拡大

こうした「WeSupportFamily」の活動を通じて見えてきた課題から、新たな活動も始めている。食品提供だけでは解決ができない「体験の格差」へのアプローチだ。公益社団法人チャンス・フォー・チルドレンが実施した調査によると、年収300万未満の家庭では、子どもの約3人の1人が、スポーツ・ピアノなどの習い事やキャンプといった学校外での体験の機会を、年間を通じて全く持っていないという。

こうした背景を踏まえ、23年から「WeSupport Family」は、支援世帯を対象にしたウィンナー作り体験や醤油蔵見学といった食の体験企画の実施に注力している。今後、協賛企業には食品や資金の寄付とあわせて、体験活動についても協賛を呼びかけていく予定という。

前述のように、サステナビリティ施策の一環として、家庭では消費できない食品を店舗で収集し、フードパントリー活動団体に寄贈する食品スーパーは増加傾向にある。

しかし、他企業や団体と連携して活動にあたる事例はそれほど多くはない。社会課題の解決に向けたインフラづくりを行うICHI COMMONSが約1200のNPOを対象として行った調査では、企業と連携して活動を行うNPOはうち8%に留まったという。食料品メーカー、社団法人、支援団体NPOなど、さまざまな立場と連携しながら「貧困」という社会課題に取組む「WeSupport Family」の活動は、食品小売業界のESG活動のあり方を考える上で示唆に富むモデルを提供している。

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