小売店舗がこれから「健康ハブステーション化」すると言える理由

解説:松本 渉(ローランド・ベルガー パートナー)、高木 美里
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小売企業が健康領域に進出する理由

 近年、小売企業の新規事業として健康領域に注目が集まっている。今後日本では高齢化に伴い医療費・介護費が急速に増加する見通しで、今まで医療・介護を主要事業領域として掲げてこなかった小売企業に対しても、健康課題解決に向けた取り組みが求められることが予想されるためだ。

 2022年度の国民医療費は約45兆円、介護費は約11兆円に上っている。これが約20年後の40年には、医療費が約1.7倍の76兆円、介護費は約2.5倍の28兆円にまで増加する見込みだ(厚生労働省・18年発表)。

 増大の一途をたどるこれら医療費・介護費を少しでも抑えるためにも、重大な病気にかかる前の「予防医療」や、医療リソースがひっ迫するなかでの慢性期の医療ニーズの受け皿としての「在宅医療・介護」のニーズがより高まることが予測される。

 実際、厚生労働省は保険医療政策のビジョンを示す「保健医療2035」の中で、疾病の治療が目的の「キュア(cure)」中心の処置から、疾病にかからない健康づくりが目的の「ケア(care)」中心の処置への転換を明言している。

 また、予防医療の中でも、病気の早期発見や再発防止などにとどまらず、生活習慣の改善による健康増進といった、病気を未然に防ぐ取り組みに重点が置かれている。

米国では業態を超えて小売企業の参入が加速

 公的皆保険制度が

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