オーケー進出で関西市場はこう変わる!ライフ、万代、有力小売の戦略は?

文:雪元 史章 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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「すみ分け」のカギをいかに見つけるか

 では、オーケーが関西でも隆盛を極めるとして、同社との競合が避けられない既存勢力は、どのような打ち手を講じるのか。本特集では6社のケーススタディを紹介しているが、共通するのはオーケーとの「すみ分け」を徹底する姿勢だ。

 ライフの岩崎社長は冒頭の会見で、こうも語っている。「(他社との)差をはっきりさせること。それによって同質化競争に陥らないということが必要になる」。実際にライフは、価格訴求型から付加価値型まで幅広いラインのPBと、売れ筋のNBを組み合わせ、あらゆる食シーンとニーズに対応。

 とくに自然派PB「BIO-RAL(ビオラル)」の売上は順調に伸びており、単独での出店も果たすなど、お客からの支持は高い。こうした戦略は、各カテゴリーでアイテムを絞り込んでEDLPを実現するオーケーとの“差異”を明確にしている。

 ライフと並び関西で強固な事業基盤を有する万代(大阪府/阿部秀行社長)は、近年注力してきた生鮮強化の取り組みをさらに加速。並行して曜日別の多様な販促企画によって、ハイ&ローならではの“お得感”を強く打ち出し、集客につなげている。

 このように、自社の強みをあらためて明確にしたうえで、独自のポジショニングをいかに確立するかが、混沌を勝ち抜くための重要なカギになる。言い換えれば、そのカギを見つけられないまま競争力を失っていけば、新たなプレーヤーの参戦が続くなかで退場を迫られかねない。

 オーケーの進出は、関西の市場と勢力図にどのような変化を促すことになるのか。本特集では、オーケーVS.既存勢力という単純な対立構図だけでなく、各社の成長戦略を「店」を基点に分析することで、市場の今後を展望してみた。

 

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雪元 史章 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

上智大学外国語学部(スペイン語専攻)卒業後、運輸・交通系の出版社を経て2015年ダイヤモンド・フリードマン社(現 ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。

企業特集(直近では大創産業、クスリのアオキ、トライアルカンパニー、万代など)、エリア調査・ストアコンパリゾン、ドラッグストアの食品戦略、海外小売市場などを主に担当。趣味は無計画な旅行、サウナ、キャンプ。好きな食べ物はケバブとスペイン料理。全都道府県を2回以上訪問(宿泊)済み。

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