支持されるベーカリーの5要素とは?それを満たす参考にすべき4店を紹介!
食品スーパー各社でインストアベーカリーの導入、強化が進んでいる。しかし、インストアベーカリーは収益性や人手不足など課題も多い部門である。そうしたなか、全国のベーカリーショップのコンサルタントとして実績を多数持つ藤岡千穂子氏は、繁盛している専門店から学ぶことが需要だという。おすすめの4店を紹介する。
ワクワク感と人の温かさのある店が強い
今、繁盛しているベーカリーには共通項がある。「ワクワクするような楽しさの提供」「お客の心を動かすこと」に注力している点だ。商品力や売場の展開力だけではなく、従業員が一体となり魅力ある店づくりを実践している店に人が集まっている。デジタル化が急速に進む一方で、人の温かさや、人とのつながりが求められている。では、どのようなことを実践すればよいのか、大きく5つ挙げたい。
①五感を刺激する商品の提供。味や食感、香り、見た目のほか、オノマトペ入りのネーミングも効果的である。購入頻度の高い商品に、アイデアによって独自性を持たせたい。今お客は、出来たてだからこその味や食感、季節感、家族との団欒など「体験」を買っている。商品開発のヒントはそこにある。
②インパクトのあるシズル感の演出。とくに店で最も大きな売上を占める名物商品と筆者が定義する「一番商品TM」は、焼きたてや揚げたての状態で提供したい。売場と工房を遮らず、職人の手仕事がお客に見えるようにして、出来たて感やお店との一体感を出す。
③季節によって品揃えに変化を出し、常連客をつくる。期間限定商品を開発し希少価値を提供する。客数増には来店頻度の向上が欠かせない。「一番商品TM」や主力商品で、短期間の催事を仕掛ける「こ祭り」を企画すると、来店が習慣化される。
④店頭も変化させて③を見える化する。看板やのぼり、タペストリー、イーゼルなどを活用し、オノマトペや商品写真を使い、お客の関心を惹きつける。
⑤集中と選択。やらないことを決めて、やることは1つランクアップさせる。たとえばセルフレジを導入したのなら、浮いた時間でお客さまとの会話を増やすといったことだ。記憶に残る会話の多い店にお客は集まる傾向にある。今回紹介するのはこれら5つの要素の手本となる店だ。是非一度、訪れてみてほしい。
どんぐり本店
全国から業界人が視察に訪れる
札幌市内を中心に約10店舗を展開する、地元で愛される人気店だ。全国から業界人が視察に訪れる。「お客さまが食べたいと思っているパンを鮮度よく提供」を掲げ、いつも出来たて商品があるオペレーションが構築されている。独自商品も豊富で、ワクワクするような商品、売場づくりを、全スタッフ参画型で実践。POPやSNS活用も参考にしたい。
手作りパン工房 コネルヤ
笑顔、温もりある店づくりに注目
地元客との会話が弾み、笑顔で溢れるパン工房。「家族や仲間とシェアしてもらいたい」という考えから、商品は少し大きめ。酵母や小麦粉にもこだわったコネルヤらしい商品が店内360度に陳列されている。おすすめパンを手書きで紹介するなど温もりがある店づくりも特徴。オーナーの想いが共有され店全体に一体感があり、技術ある人材も着実に育っている。
カスカード 阪急三番街店
良心的な価格で夜まで人が集う老舗店
1961年創業の老舗ベーカリーの旗艦店。「パンをお客様の毎日の食卓に」を掲げ、地域密着の店づくりを特徴とする。職人が手間と時間をかけ、素材製法にもこだわった商品が並ぶ。また「今どきこの値段?」と驚く顧客視点の価格構成と、21時ごろまで焼きたて商品が並ぶ利便性から閉店近くまで行列がある。写真は人気商品でライ麦や麦芽が入った「モルトくるみパン」(税込194円)。
小麦工房 パナシェ
地域を巻き込んだファンづくり
「焼きたてパンのむこうに、笑顔が見える」パンをめざすオーナーと、スタッフが一丸となり店づくりに取り組む。可愛い系からハードなパンまで揃う。チョコチップ入りの真っ黒なご当地メロンパン「志免ロン」は、技術の高さ、独創性のかたまり。ご当地ヒーローや地元の農家なども巻き込んだファンづくりで、地域活性化にも貢献する。
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