半分以上のビジネスパーソンが勘違い!キャッシュフローと運転資本を正しく理解する方法
「運転資本に投資はできない」理由がわかるか?
毎月赤字になる、例えば、給与のケースで云えば、毎月5万円マイナスになる人は、一年後には60万円のマイナスになる。そんなところに例えば50万円を投資しても、10ヶ月後には破綻する。簡単な四則演算である。しかし、運転資本がマイナス(ネガティブキャッシュフロー)なのに、投資をしてくれと頼むのである。こんなものは、本で学ぶものでなく、自分の頭で考えれば誰でもわかるのに、それができないのである。
転職して給与を増やすという方法がないでもない。しかし、転職して給与が増える=業務改革をして売上が増えるというのは、今の時代とても難しいし、むしろ給与が下がる可能性さえある。
したがって運転資本がネガティブキャッシュフローの場合、すべきことは④である。生活を見直し、自分の身丈にあったコストダウンをすることで、キャッシュニュートラル、あるいは、ポジティブキャッシュフローにすることが重要なのだ。
ここではじめて、自分の力で生きてゆける土台ができあがり、多少だが貯金もできるようになる。こういう状態になってはじめて、時間を買うため、あるいはビジネスチャンスをものにするため投資や融資を募るわけだ。私が、企業改革を「ブランドで競争する技術」で、一枚目は必ずリストラでなければならないと説くのはこれが理由である。
したがって今、「ようやく連続赤字から脱却、完全復活した!」と報じられているアパレル企業も、売上が横ばい、あるいは、上昇していなければ、いつか必ず行き詰まる。その時間軸は持っているキャッシュの量に依存するため、リストラと売上ダウンを繰り返し、有利子負債の増加で最後は死に絶えるのだ。本当に会社が復活すると言えるのは、売上が横ばい、あるいは右肩上がりになってからである。私は、この簡単なロジックを理解しているビジネスパーソンに出会ったことがない。運転資本の不足分を補填するための投資、融資はあり得ない。リストラをし、次いで売上を横ばいか右肩上がりにすることを第一にすべきで、そのために必要な投資があれば(例えば大リストラをして、新たなオペレーションのためのシステムを導入する)成立する。
したがって、再生(ターンアラウンド)型のファンドがリストラをするのは必然なのだ。それをファイナンスの知識が無いばかりに、あそこは「人権派だ」「ハゲタカだ」となんの根拠もなく話す人が多いのに呆れかえるわけだ。
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