いまや日本ブランドを超越!国潮ブームでも「ユニクロ」だけ中国で好調な理由とは
TEMU、シーインのさらなる日本侵攻は秒読み
中国では、ゼロコロナ政策により自宅の外にでられなかったということに加え、ネット販売が「便利すぎる」ため、リアル店舗に買い物をしにゆくということが「面倒だ」と感じる中国人も多いようだ。これも、リアル店舗はリアル店舗で買い物の楽しみがあると考える日本人とは異なっている。
中国の文化を一言でいえば、「自己中心トーク」という言葉があてはまりそうだ。人の話は聞いている振りをしているが、右から左。自分の主張をどんどんしてくる人が多い。私もカートサーモンの日本のパートナーをしていたころ、上海でパートナーミーティングに出かけたところ、一階のエレベータで列をつくってまっていたらドンドンぬかされ、10分経っても乗れなかった経験もある。さらに、信号無視で道路を渡る人、それを見ても平気で自動車を動かす人など「自分を中心に地球が回っている」ように思っている人が多いのではないかとおもうことが多い。
そんな中国だが、今日本と酷似しているところがある。それは、「将来不安」だ。将来が不安で国の経済に未来や希望がもてない。だから、中国人は貯蓄や投資、保険にお金をまわし、お金の流れが止まっているのである。すでに個人資産が2000兆円を超えている日本人と同様、本来社会主義はこういうときに国が人を守るものだと思っているのは私だけだろうか。だから、金持ちは自分の子供を豪州、米国、欧州に留学させるのだ。一昔前は日本への留学も多かったが、今はほとんどいない。一流の教育は日本にはないと思っているようだ。今、日本のイメージは「安心、安全」から「清潔、医療(医薬品と思われる)」へと移っている。このように、昨今の中国は経済大国からバブル崩壊前夜の日本と非常に似ているところもあり、単なる一般論では中国での勝負には勝てないだろう。この5年で中国のTEMUやSHEINは日本での活動を本格化してくるに違いない。
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プロフィール
株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。
著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「
筆者へのコンタクト
https://takukawai.com/contact/
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