コロナ後も強い生協宅配を軸にした事業間連携で、生協はこう変わる!
競争激化に物流問題…成長を阻む複数の壁
課題の1つは、食品EC競争の激化だ。食品宅配ニーズが拡大するなか、各社が積極投資により攻勢を強めている。とくに今年7月にはイオン(千葉県)が新ネットスーパー「Green Beans(グリーンビーンズ)」をスタート。高度なAIやロボットを活用した「顧客フルフィルメントセンター」を立ち上げ、仕分けや配送の効率化を図るほか、生協宅配同様に「まとめ買い」されるサービス設計や商品提案を志向しており、生協関係者も注視している。
もう1つの課題が、物流現場の人手不足だ。社会的に注目を集める「物流の2024年問題※」については、生協や生協宅配に携わる事業者は、この問題を見据えて早期から手を打ってきた背景から、すでに大半の生協では労働条件等はクリアできているようだ。しかし、競合他社の影響により、労働力の争奪戦は今以上に過熱すると考えられ、配送現場の人手不足や物流コストのさらなる増加が懸念されている。
加えて長年の課題としているのが、新たな組合員の獲得だ。なかでも生協は組合員の平均年齢が59歳(21年度全国生協組合員意識調査より)で、年々組合員の高齢化が進んでいる。高齢化が進む現代におけるメーン層の支持を得られているともいえるが、中長期的な成長のためには、若い世代を獲得していくことは必要不可欠だ。
※:働き方改革法案により配送員の時間外労働時間に上限が設けられることで生じる諸問題の総称。配送現場を担う人手が不足することが予測されている
生協宅配『次』の一手 の新着記事
-
2023/10/31
収益性悪化が如実に!生協2022年度売上・利益率ランキング -
2023/10/30
消費者調査で判明!生協宅配がコロナ後、ネットスーパーより利用維持している実態 -
2023/10/30
日生協連 藤井喜継 事業担当専務が語る若年層を取り込む新たな施策とは -
2023/10/30
ネットスーパーの影響なし!!25生協に聞いた、コロナ後の変化と今後の戦略とは -
2023/10/28
AI活用に共同配送・・・物流の2024年問題、生協の打ち手とは? -
2023/10/28
全国の生協が注目する、ならコープの「コープたつたがわ」、何がすごいのか?
この特集の一覧はこちら [13記事]
関連記事ランキング
- 2024-10-25入山章栄教授が「生協はこれからの時代に合ったビジネスモデル」と考える理由
- 2024-10-25物言う株主時代に脚光!宅配以外もスゴい「生協」の事業モデルとは
- 2023-11-01日本の卸売業150社ランキング2023を一挙公開!各社業績は軒並み好調
- 2024-10-31上位10生協中8生協が2ケタ増益!23年度生協経営指標ランキング
- 2024-10-31日本生協連トップが語る「全商品でエシカル、健康、おいしさに対応」の中身とは
- 2024-10-28コープこうべ、宅配軸にした事業構造改革の成果
- 2024-10-28売上6000億円超のコープデリ連合会、宅配利益率4%も危機感の理由
- 2024-10-30消費者調査、もっとも利用された生協宅配・ネットスーパーベスト10とは
- 2024-10-31利益700億円超を組合員に還元!コープさっぽろが学ぶ先端生協の戦略とは
- 2024-10-26あの夢グループともコラボ みやぎ生協、斬新な施策で宅配新規加入1.7倍の舞台裏