オイシックスが給食事業に本格参入 ミールキットのノウハウ生かす勝算
栄養士の「働き方改革」に挑戦
「すくすくOisix」の導入成果として、同社がねらうのが保育園給食の運営を支える栄養士の「働き方改革」だ。
これまでも保育園と取引を行う中で、同社が課題意識を感じていたのが栄養士(管理栄養士)や調理員の離職率の高さだった。要因の1つが、働く時間の長さだ。同社の調べによれば、栄養士の1日の業務時間のうち、調理関連事業は70%以上を占めており、そのために子どもたちや保護者と向き合う時間が不足する状況があったという。
「給食用手作りミールキット」を用いた場合、調理時間を1日2.5時間程度短縮し、食材費・人件費の総額を購入前に比べて18%削減できる(80人規模の保育施設の場合)。
また、給食だよりや調理指示書に必要な「食品群別(穀類・野菜類)」「平均摂取量」などのデータを提供することで、事務作業を省力化でき、運営のトータルコストが削減できるというメリットもある。
現状、オイシックス・ラ・大地が保育施設への通常食材やミールキットの卸売りといった保育園給食事業で取引を行っている保育園は762施設(2023年7月14日時点)で、売上は14億円(2022年末時点)。27年までに保育園3000施設への導入をめざす。
762施設のうちミールキットを使っているのは現状、数十施設に留まっている。同社の独自調査によれば全国の認可保育所、認定こども園、小規模保育のうち、給食を自園で調理しているのは約8割、委託が約2割。栄養士自身が献立をつくっている園の場合、同社が献立をつくるスタイルに難色を示されることもあるという。
オイシックス・ラ・大地株式会社BtoBサブスク事業本部本部長・濱崎真一氏は「自社で献立を作ると言っても、オイシックスのミールキットは完全に調理済みの食品、いわゆる『完調食』ではない。味付けは各園に委ねられており、手作り感がある。『手抜き』食品ではないことは自信を持ってお伝えしたい」と話す。
BtoC領域において高い存在感を持つ同社のサービスは、BtoB領域でどの程度受け入れられるのか、注目される。