経営学者・楠木建氏も絶賛!店舗当たり年商約27億円を稼ぐ 「クックマート」の競争戦略

2023/07/26 05:55
大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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「クックマート」モデルで
ローカルスーパーを活性化

 最後に、これから注目されるのがデライトHDの今後の競争戦略だ。同社は2022年9月5日、ファンド運営会社であるマーキュリアインベストメント(東京都)との戦略的資本業務提携を締結するという、これまた異例の発表をしている。投資会社であるマーキュリアと組むことで、ファイナンス等に長けた経営人材の獲得と、ローカルスーパーの成長モデル構築を図る。

 ローカルスーパーの成長モデルの構築では、具体的には、成長を続けるクックマートの組織づくりや店舗運営のノウハウを体系化。これを生かしてクックマート既存店を磨き上げるだけでなく、将来的にはこの成長モデルのその他小売業への導入や、賛同してくれた企業とのグループ化や提携・連携なども見据えている。
 
 デライトHDの白井健太郎社長は今回の提携について「業界の常識やチェーンストア理論の枠組みを超えてブレイクスルーするためには、異なるバックグラウンドを持つ専門家集団とのコラボレーションこそ理にかなっている。ローカルスーパーの次世代の成長モデルを実現したい」と意気込みを語っている。

 このように、これまでのローカルスーパーとは異色の成長路線を歩み出しているクックマート。大手チェーンの進出や深刻化する人口減などによって、ローカルスーパーの経営は年々厳しさを増している。こうしたなか、ローカルスーパーが勝ち残る新たな道を切り開いてくれることに期待したい。

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記事執筆者

大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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