経営学者・楠木建氏も絶賛!店舗当たり年商約27億円を稼ぐ 「クックマート」の競争戦略

2023/07/26 05:55
大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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 愛知県・東三河~静岡県・浜松エリアで現在12店舗を展開する食品スーパー(SM)「クックマート」は、1995年創業と業界でも後発の企業ながら、1店当たり平均年商で約27億円を稼ぐほど地域で高い支持を得ている。そんな同社の強さの源泉となっているのが、独自の競争戦略だ。ここに至るまでの歩みや、具体的な戦略内容、そしてこれからめざす「ローカルチェーンストア・第三の道」についてまとめた書籍『クックマートの競争戦略』(発行:ダイヤモンド社)が7月25日に発行された。同書籍の一部中身を紹介するとともに、今後の食品スーパー業界に求められることについて述べる。

クックマート外観
愛知県・東三河~静岡県・浜松エリアで高い支持を得る「クックマート」
書籍
書籍『クックマートの競争戦略』

小型店でありながら
店当たり年商27億円

 デライトホールディングス(愛知県/白井健太郎社長:以下、デライトHD)が運営する「クックマート」は、全店20時閉店でチラシ販促もしない、「ローカルの普通の人々が活躍できる」ことをめざす人事モデル、投資ファンドとの戦略的資本業務提携など、「スーパーの常識を超える」といっても過言ではない独自の経営スタイル、成長戦略を特徴とする。

 書籍『クックマートの競争戦略』は、そんなユニークな戦略が生まれた背景や、具体的な施策、そして今後の日本でめざす成長戦略「ローカルチェーンストア・第三の道」について白井健太郎社長自らが綴ったものだ。
 さらに、日本を代表する経営学者である楠木建氏(一橋ビジネススクール特任教授/著作『ストーリーとしての競争戦略』)が「クックマート」の競争戦略を絶賛し、その優れた点を、「競争戦略の勝利条件」「トレードオフの選択」「持続的競争優位性の正体」など、経営学の視点から約35ページに渡って解説している。

 オーバーストア、同質飽和化が指摘される食品スーパー業界において、他社と差別化を図り支持されるためにはどうすればよいのか。著者の実践や経験からヒントを得られるとともに、楠木氏の解説から、学術的にも競争戦略で重要なことを学べる1冊だ。

店内
クックマートの店内に並ぶ独自商品の数々
多くのお客を集める
なぜ、クックマートが大手に負けず支持を得られるのか。書籍では経営学の視点からも解説されている

「ないない尽くし」の経営
戦略の要旨はフォーカス

 本書籍のなかで、業界に一石を投じている内容の1つに、クックマートの「ないない尽くし」の経営スタイルがある。

「価格訴求のチラシがない」
「深夜営業しない」
「ポイントカードがない」
「クッキングサポート・レシピがない」
「深夜営業しない」
「大きな本部がない」・・・

 このように一般的な食品スーパーでは当たり前のようになっている施策をクックマートでは行っていない。自社の戦略の実現を主眼に「やるべきこと」「やらないこと」をはっきりさせているのだ。

 楠木氏は解説にて「戦略の要旨はフォーカスにある。裏を返せば『何をやらないか』をはっきりさせれば、顧客に対して他社との違いをはっきりと示すことができる」と、クックマートが実践するトレードオフの選択の重要性を指摘している。

 このように「やるべきこと」を取捨選択するために必要となるのが、自社の戦略コンセプト、すなわちめざす方向性を明確にすることだ。

 これに対してクックマートでは、白井社長が代表に就任以降、自社の組織文化、価値観を体現した戦略コンセプトを模索し辿りついた、独自の理念「楽しむ、楽しませる!」(自身も楽しんで、その結果、お客を楽しませることをめざす)、ストアコンセプト「リアル×ローカル×ヒューマン=地域の活気が集まる場所」のもと、意思決定を行っている。

 国内人口の減少や競争激化による人手不足の深刻化、各種コストの増加などを背景に、食品小売企業の経営資源はいっそう限られる状況にある。そうしたなか、クックマートのように、改めて自社のめざすべき方向性を明確にし、必要な施策に注力することはこれまで以上に重要になってくるだろう。

 

書籍『クックマートの競争戦略』
7月25日~好評発売中
税抜1800円

こちらからお買い求めいただけます▼

書籍

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