日本一の高質リージョナルGMSをめざす=イズミ 山西 泰明 社長
初の中期経営計画、営業利益率6%をめざす
──19年2月期を初年度とする3カ年の中期経営計画を発表しました。
山西 これまで当社は毎年、その事業年度の重点施策を確実にやりきるという経営方針であったため、中期経営計画を立てたことはありませんでした。しかし、複数年度にわたる課題解決や改革、そして中長期的な目標に向かって行動することの必要性を感じ、初めて中期経営計画を策定するに至りました。
当社は数年前から1兆円企業をめざすと公言してきましたが、それを達成する前段階として3カ年計画の最終年度である21年2月期に営業収益9000億円、営業利益率6%を達成する目標を掲げました。ほかにもROA(総資産利益率)9%超、ROE(自己資本利益率)13%以上など、目標となる経営指標を設定し、事業を推進していく方針です。こうした目標をクリアしたあと、23年2月期に営業収益1兆円をめざす考えですので、トータルでは5カ年にわたる計画となります。
流通業界はさらなる競争激化が予想されます。当社のDNAである「革新・挑戦・スピード」を生かし、営業収益1兆円を達成し、企業価値の向上を図りたいと考えています。
──どのようにして目標を達成する考えですか。
山西 イズミとゆめブランドの価値を高めることによって、「日本一の高質リージョナル総合スーパーを目指す」を経営ビジョンに掲げています。それを踏まえた成長戦略として3年間に40店舗を新規出店します。「ゆめタウン」のほか、当社のSMを中心とする近隣型SCも出します。さらにレクトでの成功事例や運営ノウハウを活用した新しい大型店舗の開発も検討します。これらの店舗を含めて年平均200億円超を投じる考えです。
──成長戦略では「M&A(合併・買収)の積極推進」も重要テーマとして掲げています。
山西 今後、少子高齢化による消費マーケットの縮小や後継者問題から経営を維持することが難しくなる中小のSMが増えると思われます。
そんななかで、志を同じくし経営をともにできる企業があればと考えています。中小のSM企業だけでなく、全国チェーンとの提携も想定しています。すでに有力企業が展開していた店舗を譲り受け、居抜き出店したケースもあり、こうした方法で店舗網を拡充していきたいと考えています。
リアル店舗の強みは接客、テクノロジーを積極活用へ
──小売業界では、GMSや百貨店の苦戦が続いています。
山西 苦戦のおもな原因は、品揃えや売場面積が標準化されていないことにあると考えています。店舗規模や品揃えを、地域のニーズに対して柔軟に応えられる長所はあるものの、SMのようにドミナント出店できないため、経費率が30%超と高コストにあるのが現状です。
その対策の1つとして、4~5年前からトヨタの改善手法を取り入れた業務改善に取り組んでいます。店舗の後方作業やオペレーションを効率化することによりコスト削減を図っています。効果は出ていますが、まだ道半ばです。やはり自動車の製造業と小売業では作業プロセスに違う面もあるため、トヨタの手法をうまく解釈しながら、魅力ある当社流のGMSを追求したいと考えています。
──ネット消費が拡大しています。どう対応しますか。
山西 重要なのは、リアル店舗ならではの店づくりを追求することだと思っています。品揃え、売場の工夫はもちろんですが、これから強化する必要があるのは接客でしょう。来店されたお客さまと最後に接するのがレジです。そこでどう対応するかは非常に重要です。そこで精算時にテクノロジーを活用して、お客さまの顔認証や購買履歴を組み合わせて接客をするといった、リアル店舗としての強みを追求できればと思っています。