イズミ、2024年度決算はシステム障害影響で減益着地 カギを握る「サニー事業」の方針は

2025/04/23 05:55
関川 耕平 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)
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イズミ(広島市/町田繁樹社長)は415日、20252月期(24年度)の通期決算を発表した。期中は食品スーパー(SM)「サニー」を含む西友の九州事業を買収したことで営業収益は過去最高を更新したものの、242月に受けたランサムウェア攻撃からの復旧に時間を要し、大幅な減益での着地となった。今後、イズミは「サニー」が持つローコストオペレーションなどのノウハウを既存店舗へ波及させることで、グループ全体の収益力を高めたい考えだ。

ゆめマート五日市

ランサムウェア攻撃の影響色濃く

 イズミの252月期(2024年度)の連結決算は、営業収益が5241億円(対前期比11.2%増)、営業利益は254億円(同19.1%減)、経常利益は257億円(同20.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は119億円(同41.8%減)で増収減益だった。

 24年8月に西友(東京都/大久保恒夫社長)の九州事業を買収したことで、営業収益は過去最高を更新した。しかし、24215日に発生したランサムウェア被害からの回復に時間を要したことなどから、営業利益以下の段階利益はいずれも大幅な減益で着地している。

 とくに第1四半期は、発注システムに障害が発生した影響で、一部商品の提供が困難になるなどの不具合が多発した。販促・サービスの面では、各店舗の折り込みチラシや、「ゆめアプリ」でのクーポンの配布などができず、店舗運営に大きな影響を与えた。

 また、西友から買収した「サニー」事業で想定外の費用が発生したことも減益の要因となっている。15日に開催した決算説明会で、イズミ経営企画部経営企画課課長の佐藤慶二氏は「『サニー』事業の買収は、カーブアウト案件(※)であること、事業承継直後であったことから、西友からの円滑な事業移行を最優先にした。その結果、想定外の原価・経費の増加が発生し、のれん償却前営業利益が期初計画から26億円減となった」と説明した。

※企業が特定の事業を切り離して、社外の別の組織として分離独立させること

 一方、24年度は、店舗新設と既存店活性化に積極投資し、「ゆめマート新大村店」(長崎県大村市)、「ゆめモール合志店」(熊本県合志市)を新規オープンしたほか、「ゆめモール五日市店」(広島県五日市市)をスクラップ&ビルドで出店。また、グループ全体で全18店の店舗活性化を実施している。

 そのほか、先述した西友の九州事業買収に加え、245月には大分県でSMを展開するサンライフ(大分県)を完全子会社化している。

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記事執筆者

関川 耕平 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

1995年生まれ。同志社大学文学部英文学科卒業。

24年に株式会社ダイヤモンド・リテイルメディアに入社し『ダイヤモンド・チェーンストア』の担当編集者となる。

趣味はクライミングとコーヒーを淹れること。特技と悩みは浪費と早食い。

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