ドラッグストアの針路 #7 現在の約3倍!ドラッグストアは20兆円産業となるか
規制緩和が市場拡大を後押し?
しかし、ドラッグストア市場は本当に10兆円、あるいは20兆円まで拡大していくのだろうか。ドラッグストアに隘路があるとすれば、「消費者が従来からの買物習慣を変える、決定的なファクターがドラッグストアにあるかどうか」(ある経営コンサルタント)という見方である。
焦点は2つだ。1つは本連載でも述べた「規制緩和」だ。厚生労働省では現在、一般用医薬品(OTC医薬品)の販売時間を「営業時間の2分の1以上」としているが、これを「6時間以上」に緩和する方向で検討中だ。
この緩和が仮に実現すればコンビニでの一般用医薬品の販売のハードルが大きく下がる。コンビニでも大衆薬が販売できれば、ドラッグストアから顧客を引き戻せるという予測もある。これはドラッグストアにとって逆風だ。
ドラッグストアは20兆円産業となるか
もう1つは、池野ドラッグストア協会会長が予想する「食品スーパーやホームセンターから顧客を呼び込めるか」という点である。
バローホールディングスの田代正美会長兼社長は「食品スーパーを1店作るとドラッグストアやコンビニエンスストアがたちまち周辺にできる」と発言したように、ドラッグストアと食品スーパーは明らかに競合関係にある。
しかし、食品スーパーに来店する主婦が、生鮮食品の品揃えがそれほど充実していないドラッグストアで、頻繁に買物をするようになるのかというのが今後の焦点だ。ドラッグストア業界ではコスモス薬品(福岡駅)を必要とした食品強化型チェーンが台頭しており、ツルハホールディングス(北海道)でも660店に生鮮食品を導入するなど、大手も続々と食品強化に乗り出している。ドラッグストアからすれば、食品強化は買い上げ点数の増加にもなるうえ、来店頻度の向上も見込まれるなど、メリットは少なくない。
だが、食品スーパーと比べて生鮮食品や総菜の品揃えが少ないドラッグストアが、消費者にとって食品のメインの買い場になるかがみ透明だ。ドラッグストアが今後、他業態からシェアを奪っていくことはほぼ間違いない。しかし、10兆円、あるいは20兆円産業へ成長するとなると、乗り越えなければならないハードルは多い。
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