地域への密着度を高め17年2月期に営業収益1000億円=マックスバリュ北海道 出戸 社長

聞き手・構成:小木田 泰弘 (ダイヤモンド・ドラッグストア 編集長)
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 当社では、「簡単・便利・すぐに食べられる」をコンセプトに、とくにデリカゾーンを強化しています。揚げ物や弁当、寿司などの総菜に加え、デザートやベーカリー、そして冷凍食品も増やしています。また、調理用カット野菜をはじめとした加工度を高めた生鮮食品もコーナー化するなど力を入れています。

 もうひとつの個店・エリアごとの対応は、出店政策とも密接に結びついています。

 現在、当社は道央圏に49店舗、道北圏に11店舗、道東圏に4店舗、道南圏に10店舗を展開しています。

 道東圏には、昨年10月、釧路市に「ザ・ビッグ鳥取大通店」を新規出店し、4店舗態勢となりました。それを機に地域に合った品揃えを追求できるよう、道東圏専任の商品部員を、農産、水産、畜産、総菜、日配品の各部門に1人ずつ配置し、商圏内で支持される地元の商品をより調達しやすい態勢にしました。それまでは2割ほどだった地域からの仕入れを3割に増やし、総菜は唐揚げの「釧路ザンギ」のような地元のメニューも販売できるようにしました。

 北海道と一口にいっても、支持される商品はエリアごとに大きく異なります。たとえばジンギスカンに使う羊肉は、札幌では生のラム肉が主流ですが、道北ではたれ漬け肉、道南エリアでは冷凍のスライス肉が好まれます。チェーンストアとして全店舗統一で販売したほうが高効率であることに違いありませんが、一部の商品については地域によって嗜好が大きく異なるのが実態です。

 お客さまからみれば、欲しい商品が置いてあるお店で買物をするのが当然ですから、チェーンストアとしては地域で異なる食の嗜好に対応しなくてはなりません。それを実現するには、ドミナント化を図って効率を高め、専任の商品部員を配置できるだけの費用を捻出する必要があります。つまり、個店・エリア対応とドミナント化はクルマの両輪なのです。

──既存店のテコ入れという意味では、10年度から展開をスタートしたディスカウントストア(DS)「ザ・ビッグ」もお客から大きな支持を得ています。

出戸 そうですね。若年のお客さまにまとめ買いしていただきたいと始めたDS「ザ・ビッグ」は、今では売上の3割を占めるまでになっています。主にエリアの競合状況や商圏の特性を見極めたうえで、SMの既存店を「ザ・ビッグ」に業態転換してきました。一連の改装・転換を通じて、「ここの店舗はSMでいこう」「ここはDSに転換しよう」と、2つのフォーマットの使い分けのノウハウを習得することができました。

──14年2月期は、既存店売上高の牽引役である「ザ・ビッグ」への業態転換がありませんでした。それにもかかわらず、既存店は前年実績をクリアしています。

マックスバリュ北海道 代表取締役社長 出戸 信成

出戸 既存店を10店舗改装したことに加えて、ここ数年取り組んできた小さな改善の積み重ねがお客さまから評価されてきていることが大きいと思います。

 たとえば、イオングループのSM事業会社で行われている、パートタイマーによる改善運動「マイストア委員会」の取り組みをはじめ、昨年からは接客とクレンリネスのコンクールを独自に開始しました。

 小売業にとって接客やクレンリネスは基礎基本です。従業員が「このお店はお客さまからどう見えるのか」と意識して日々の業務に当たることで、お店の雰囲気も大きく変わってきます。

 お客さまが、すべての買物を当社の店舗でしているとは考えていません。時間帯や曜日、家庭のイベントなどに合わせて、複数のチェーンの店舗を使い分けしているのが実態でしょう。

 当社は改装オープンの際に、店舗の改善度合いをそれまで足が遠のいていたお客さまに知っていただくことを重視しています。当社の店舗の変化がお客さまに評価され、われわれの店舗への来店回数が増えているのだと考えています。

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聞き手・構成

小木田 泰弘 / ダイヤモンド・ドラッグストア 編集長

1979年生まれ。2009年6月ダイヤモンド・フリードマン社(現ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。「ダイヤモンド・チェーンストア」誌の編集・記者を経て、2016年1月から「ダイヤモンド・ドラッグストア」誌副編集長、2020年10から同誌編集長。

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