間違いだらけのサステナブル経営 アパレル業界は「成長を望まない社会」の生活提案をすべきだ
サステナブルを生活環境・社会環境と捉える
ビフォー・コロナの世界。人の生活は1対9ぐらいの割合で、オフィスワークが中心だった。だから「ワーキングレディ」の仕事着にトレンドが移った。ユナイテッドアローズのグリーンレーベル、TSI Holdingsのナチュラルビューティーベーシック、JUNのロペピクニックは、ワーキングレディ御三家といわれ、働く女子の戦闘着になった。このように、ファッションというのは、我々を取り巻く社会環境と極めて相関性が高い。サステナブルを、私たちが生活するための環境であると思えば、いろいろなことが整理できる。
人はものに溢れ、情報は無価値(無料)となっている。今、就活中の学生に「日経新聞をとっているか」と聞けばNoと答えるし、「100万円金があればどうするか」と聞けば、将来のために運用して増やすという。彼らは、一応、大企業には入るが、力のある学生ほど「大企業は3年で十分。そこからは起業する」という人も多くなり、最近では財閥系商社を辞めて、私と自由に産業再生をしたいという社会人まででてきた。上場株を買っても大儲けすることはまれで、今、一番儲かる株は非上場株。つまり、プライベートエクイティだ。ここからも、すでに経済成長の天井は見えているということだ。
こうした変化のパズルをとけば、そのメカニズムは明らかだ。時代が変わり、人の経済活動がこれ以上成長しないということなのだ。大量生産すれば消費者が大量消費をしてくれた。しかし、人はものを買わなくなった。正確に言えば「必要なくなった」のである。サステナブルファッションやくず原料を使えば、消費者は消費するなどというのは勘違いも甚だしい。サステイナブル社会とは、我々がこれから迎える「社会環境」であり、その環境下でビジネスをする「生活環境」なのである。
河合拓のアパレル改造論2021 の新着記事
-
2022/01/04
Z世代の衝撃#4 Z世代を追えば敗北必至!取るべきトーキョー・ショールーム・シティ戦略とは -
2021/12/28
Z世代の衝撃#3 既存アパレルが古着を売っても失敗する明確な理由とは -
2021/12/22
インフルエンサー・プラットフォーマー「Tokyo girls market」驚異の戦略とは -
2021/12/21
プラットフォーマー起因の歪な過剰生産が生み出す巨大ビジネス、SheinとShoichi -
2021/12/14
Z世代の衝撃#1 ライブコマースで「インフルエンサー・マーケティング」が失敗する衝撃的理由 -
2021/12/07
TOKYO BASEがZ世代から支持される理由と東京がショールーム都市になる衝撃
この連載の一覧はこちら [56記事]
関連記事ランキング
- 2024-10-29ライザップ傘下の夢展望、Temu効果で株価高騰も拭えない「不安」とは
- 2024-11-05ユニクロがZOZOに出店しない当然の理由と今後のECモールとの付き合い方
- 2024-11-12アパレルは「個人売買」「古着」が、今後驚くほど拡大する理由
- 2024-11-19ユニクロ、開始から7年で明らかになった有明プロジェクトのいまとすごい成果
- 2024-11-13値上げしたのにアパレル業界が利益に結び付かない2つの理由
- 2024-10-22事業再生、「自ら課題解決する」現場に変えるための“生々しい”ノウハウとは
- 2024-11-07同じ低価格なのに…GUがしまむらやワークマンと「競合」しない決定的な理由_過去反響シリーズ
- 2024-09-17ゴールドウイン、脱ザ・ノース・フェイス依存めざす理由と新戦略の評価
- 2021-11-23ついに最終章!ユニクロのプレミアムブランド「+J」とは結局何だったのか?
- 2023-08-08EC時代にスクロールとベルーナだけ好調 生き残るカタログ通販、死ぬカタログ通販
関連キーワードの記事を探す
ユニクロ、開始から7年で明らかになった有明プロジェクトのいまとすごい成果
ユニクロがZOZOに出店しない当然の理由と今後のECモールとの付き合い方