間違いだらけのサステナブル経営 アパレル業界は「成長を望まない社会」の生活提案をすべきだ
先日、あるテレビ局から「サステナブル経営」について取材を受けた。確かに、最近のアパレル業界は「サステナブル」一色で、それらをあえて包括すれば、リサイクルの素材を使って作りすぎを無くし、ゴミとなってでてきたものは再利用するという、食物連鎖の絵のようなものを紹介しているモノばかりである。本当にそれが「サステナブル経営」の本質なのだろうか?
「サステナブルだから売れる」という勘違い
ある調査会社は「消費者はサステナブルなファッションを求めている」と言い、マーケティング的観点からサステナブル・ファッションを提唱している。また、あるメディアは、アパレル産業が生産時に排出する環境破壊の薬品、二酸化炭素などをやり玉にあげ、最後は、非人間的なアジアの労働環境に焦点をあて、人道的観点からサステナブルを推奨していた。
これらに共通しているものは、その裏側に何ら哲学も世界観も見えないということだ。くずシルクやくずコットンでつくった服が売れるというなら、新宿や渋谷で女子達が買っている購買行動を見れば良い。「サステナブルだから売れる」というのは、そもそも日本語の意味が不明である。また、「作りすぎだ、けしからん」などと叫んでも問題解決にならないことは前号で伝えたとおりである。
わらにもすがりたい産業崩壊寸前のアパレルに体の良いキーワードが現れただけだ。サステナブルとは、売るためのキーワードなのか、それとも、我々がアフターコロナの時代に生きてゆく「社会環境」のことなのか、はたまた産業活動全体として守るべき世界的とりきめなのか。アパレル業界は全く考えていないように見える。
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