ウィズコロナ時代のショッピングセンター経営14 賃料ビジネスからの脱却とマルチ収益化の手法
前回、テナント開発とは、単にテナントを見つけて誘致することではなく、良い商品やサービスを見抜き、企業を資金面からも支援し、その成長からリターンを得るビジネスに変えないとこの先、ショッピングセンター(SC)のテナントリーシングは先細りになることを指摘した。
この考え方はテナントリーシング業務に限定されたものではなく、SCのビジネスモデルの根幹に影響する大きな変革を求めている。今回は、その視点をもう一歩進めていきたい。
賃料収入は減少する 忍び寄るSCビジネスの限界
この連載で幾度となく指摘しているが日本人口の減少は残念ながら止まることは無い。
むしろ、このコロナ禍によって出生率はますます低下し、政府の予測を上回るスピードで人口減少は進む。
現在、唯一増加している東京圏でさえ2025年には減少に転じる[1]。ということは、売上連動で収入が決まる百貨店やショッピングセンターには残念ながら厳しい未来が待っている。
この現状に対して何ら対応をしない限り、現在の何万平方メートルという賃貸床はスラム化の道を歩むことになる(海外では既に始まっている)。
SCビジネスが「不動産価値×テナント売上高」で成り立つ限り、この2つのパラメーターを上げるしかない。それがテナント巡回、テナント指導、テナントコミュニケーション、接客ロープレとなるわけだが、人口減少下にあって、掛ける時間とコストを考えるとどれだけ奏功するのか。担当者は薄々気づいていると思う。
[1] 東京都政策企画局honbun4_1.pdf (tokyo.lg.jp)
ウィズコロナ時代のショッピングセンター経営 の新着記事
-
2024/11/18
第102回 SCのマーケティングは「マスマーケティング」である理由 -
2024/10/31
第101回 今年の新入社員の30年後は「全員管理職」?人口減時代のビジネスとは -
2024/10/17
第100回 30年後、社会と商業はどうなっているのか? -
2024/09/27
第99回 「顧客を把握できる」ECに対し、リアル小売が取るべき3つの戦略とは -
2024/09/13
第98回 百貨店とSC、「インバウンド一色」への懸念とは -
2024/08/30
第97回 減少続く…データで見る2023年度のSC動向
この連載の一覧はこちら [102記事]
関連記事ランキング
- 2024-10-29ライザップ傘下の夢展望、Temu効果で株価高騰も拭えない「不安」とは
- 2024-11-05ユニクロがZOZOに出店しない当然の理由と今後のECモールとの付き合い方
- 2024-11-12アパレルは「個人売買」「古着」が、今後驚くほど拡大する理由
- 2024-11-19ユニクロ、開始から7年で明らかになった有明プロジェクトのいまとすごい成果
- 2024-11-13値上げしたのにアパレル業界が利益に結び付かない2つの理由
- 2024-10-22事業再生、「自ら課題解決する」現場に変えるための“生々しい”ノウハウとは
- 2024-11-07同じ低価格なのに…GUがしまむらやワークマンと「競合」しない決定的な理由_過去反響シリーズ
- 2024-09-17ゴールドウイン、脱ザ・ノース・フェイス依存めざす理由と新戦略の評価
- 2024-10-31第101回 今年の新入社員の30年後は「全員管理職」?人口減時代のビジネスとは
- 2021-11-23ついに最終章!ユニクロのプレミアムブランド「+J」とは結局何だったのか?