第107回 「SCの取り扱い基準」の変更がもたらすインパクトとは
ショッピングセンター(SC)には、(一社)日本SC協会が定める「定義」と「取り扱い基準」があり、このうち「取り扱い基準」が2025年1月1日に改定された。この改定は、SCの時代性を捉え、その経営方針を規定する大きな意味を持つ。今回はこの改定の意味するところを解説したい。

SCの定義
SCの定義は、下記の通りに定められている。
- ショッピングセンターとは、1つの単位として計画、開発、所有、管理運営される商業・サービス施設の集合体で、駐車場を備えるものをいう。
- その立地、規模、構成に応じて、選択の多様性、利便性、快適性、娯楽性等を提供するなど、生活者ニーズに応えるコミュニティ施設として都市機能の一翼を担うものである。
前項に記載した定義に散りばめられたポイントを解説すると次のとおりとなる。
SCは、商店街のような自然発生的に形成された商業集積ではなく、SCの名称がつく1つの集団としてデベロッパーなどの事業体が計画から開発・管理運営まで関与する事業スキームを表す。しかし、2000年の資産流動化法の改正以降、不動産の流動化が広がり、SCも売買されることで、この定義が想定する所有と管理運営は、今は必ずしも一致しない。
そして、その性格は「商業・サービス施設」であり、住宅やオフィスなどが入ることは想定されていないが、近年、シェアオフィスやコワーキングスペースなども増え、一概に「商業・サービス施設」だけの施設ではなくなっている。
また、「駐車場を備える」ことを求めるが、この定義は日本初の本格的SC「玉川高島屋S・C」をプロトタイプとして策定された歴史を表している。
ここで重要なのは、「生活者ニーズに応えるコミュニティ施設として都市機能の一翼を担う」規定にある。SCは
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