彷徨うコンビニその10 コンビニ各社を襲うコロナショック

森田 俊一
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コロナショック下の出店戦略は

 出店についてはどうか。コロナショックの以前から、コンビニの出店競争の潮目は変わりつつある。

 大手3チェーンはこれまで年間1000~1500店のペースで店舗網を拡大してきたが、ここ数年の各社の出店は抑制気味だ。大手3チェーンは新規出店の計画数値を発表していないが、セブン-イレブンは743店の新規出店に対し、閉店・移転が703店と、店舗純増数は43店にとどまった(20年2月期実績、セブン-イレブン沖縄を除く)。ファミリーマートも173店の増加にとどまり、ローソンに至っては国内グループ店含めた総店舗数は215店の純減となっている。

 ファミリーマートの澤田社長は、今期の出店について、「具体的な計画数値は定めず、現在の店舗の規模を維持する程度の出店を見込む」と述べている。新型コロナウイルスの感染拡大の影響が未知数であるなかで、出店に関して慎重論が多く、必然的に既存店の拡充に動かざるを得ない。

「コンビニ店舗の拠点化」は進むか?

 セブン&アイの井阪社長は、決算説明会の席上で「(リモートワークの拡大もあり)ネット通販が強くなっている」と発言している。イトーヨーカ堂(東京都)のネットスーパーの受け取りロッカーをセブン-イレブン(東京都)の都内2店に設置し始めるなど、今後グループをあげて、コンビニ店舗の「ラストワンマイルを埋める拠点化」を進める可能性も示唆している。

 ローソンも、都内14店舗展開している食事宅配サービス「ウーバーイーツ」を、東京、大阪など500店に拡大する計画を打ち出している。コロナショックによって、リモートワーク・在宅勤務が定着しつつあるなか、コンビニ店舗の拠点化をめざす動きは強まるとみられる。

 一方、ファミリーマートは、こうした“飛び道具”の可能性に言及していない。その代わり、営業が継続できないフランチャイズ店舗を直営化し、収益力を強化してから再フランチャイズ化するといった既存店のテコ入れ策を発表。また、店舗運営指導にあたる「スーパーバイザー」を店舗の近くに居住させ、FC店のケアを強化する体制を打ち出すなど加盟店ケアに余念がない。

 2011年の東日本大震災の際は、生活インフラとしての重要性を強烈に示したコンビニ各社。コロナショック下でコンビニはどのような役割を果たすのか。期待が集まっている。

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