アローズにビームス…セレクトショップの未来とめざすべき新ビジネスとは
本日は、セレクトショップの未来について「妄想的」予言をしてみたい。セレクトショップを論じる時に忘れてならないキーワードは、「アメカジ」と「メンズ」の2つである。この2つにSPA(製造小売り)ではなく、「小売」ビジネスを掛け合わせたものが本来のセレクトショップである。しかし、こうした厳格な定義はもはや崩れてきている。本稿では「セレクト御三家」についてユーザー視点で話を進めていきたい。
女性比率とPB比率が高いユナイテッドアローズ
セレクトショップ御三家とは言うまでもなく、「ユナイテッドアローズ」「ビームス」、そして「シップス」の3社を指す。その特異な点として、アパレルビジネスはレディースのほうがメンズより数倍も市場が大きいにもかかわらず、これら「セレクトショップ」のメンズ比率がもともとかなり高いことがあげられる。
そうしたなかで、ユナイテッドアローズは「レディース」 x 「プライベートブランド(PB)」の比率が大きくなっているが、これは本来のセレクトショップの方向性とは異なるものだ。御三家の中で唯一この領域を拡大できているのは、同社が上場して、豊富な投資資金を確保していることも関係している。ハッキリしたデータを持っているわけではないが、同社の広義のPB比率は、全体の70~80%にも拡大している可能性がある。こうなると「セレクトショップ」と言って良いかどうか、という水準だろう。
PBの定義は難しい。よくPBとSPAを混同して使っている人がいるが、例えば、商社に生産をOEMで丸投げしていても、また、その企画さえも商社に丸投げしていても、その商品責任を「店舗側」が持つのであれば、それは、「PB」である。商社に生産や企画を丸投げするか否かは、アウトソースかインハウスかという戦略の違いにすぎない。「PBか否か」とは関係ない点を認識してほしい。
「アメカジ×メンズ」を代表するビームス
ビームスこそ、「アメカジ」 X 「メンズ」を代表する企業だ。もともと段ボール会社だったと聞くと驚く人が多いかもしれない。米国のアメリカンカジュアルを日本へもってくることを主眼にセレクトショップの原型のような店を立上げ、ユナイテッドアローズも実はビームスから枝分かれしたのである。
ビームスが服好き、ファッション好きの社員を沢山集めているのは有名な話だ。しかし、外から見て、似たような店が乱立しており、例えばユナイテッドアローズのように、グリーンレーベル、ビューティー&ユースを「キャッシュカウ」(金のなる木)にして、ユナイテッドアローズでテストマーケティングをする、というブランドの連続性のようなものが見えにくい。なおビームスは非上場のため、在庫やキャッシュフローなどの詳しい状況はわからない。
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